ちろる

失われた週末のちろるのレビュー・感想・評価

失われた週末(1945年製作の映画)
3.7
私はアルコールに弱くてお酒に溺れた経験は無いのだけど、アルコール中毒者の世界ってこんななのだなぁ、とゾッとした。
物語はいたってシンプル。
真面目なお兄さんと恋人は、必死で中毒から彼をまともな道に戻そうと気をつけるんだけど、彼はあの手のこの手で酒を飲むことに必死になる。
はじめの方は、ビリーワイルダー作品らしく、そのイタチごっこがコミカルに描かれているのに、途中からはどんどん常識から逸脱したただの暴君のようになって酒をなんとか手に入れようとする展開は全然笑えない。

これをこのまま覚せい剤、薬物中毒に当てはめることができるんだろうけど、中毒者の悲惨な成れの果てを見ても全然恐怖を感じないことに驚いてしまう。
だんだんホラーみたいにシリアスに転調していき、最初と最後で作品への印象がガラッと変わった作品でした。
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