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つながれたヒバリのsonozyのレビュー・感想・評価

つながれたヒバリ(1969年製作の映画)
4.0
1969年、チェコ・ヌーヴェルヴァーグのイジー・メンツェル監督作。
約20年もの公開禁止期間を経て、1990年にベルリン国際映画祭 金熊賞を受賞した作品。

舞台は1950年代、共産主義体制の元、政治犯として鉄クズ再処理工場で働かさせられている男女(つながれたヒバリ)たちの物語。

様々な理由で「思想犯」となってしまった男たちと、彼らに指示する監視人。
亡命を試みて「退廃的資本主義に毒された」として服役中の女たちと、それを静かに見張る気弱そうな看守男。

男女2つのグループは、簡易的な柵を隔ててはいるものの、隣同士、視線を送り合ったり、不思議な交流を続けている。

女囚のみなさん、妙におキレイだし、仕事もゆるゆるで、のどかにも見えますが、抗議したり、はむかえば、秘密警察に逮捕されてしまう状況。

気弱そうな看守男はロマ(ジプシー)の女性と結婚するが、夜の部がどうもしっくりいかない。笑

主人公の男パヴェル(『厳重に監視された列車』でもいい味を出していた)は、女囚の一人、イトカに差し入れを渡す仲で、結婚を申し込みOKをもらう。
服役中の結婚なぞ言語道断!なのかと思いきや、監視人も看守男もみなさんサポート&祝福。
工場敷地内の小屋を、二人のための部屋に仕立ててあげて、まずイトカを呼び、ルンルン気分のパヴェルがそこに向かおうとするのだが。。

暗い鉄クズ再処理工場が舞台で、当時の体制風刺や皮肉が盛り込まれていますが、メンツェル監督独特の、ユーモア、ほのぼの感、ほのエロさ、優しさ。人間味溢れるストーリーでした。
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