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シカゴのyuiのレビュー・感想・評価

シカゴ(2002年製作の映画)
4.5
美しいから罪が映えるのか、罪があるから美しいのか。
無罪の女になんて興味ない、主役の口紅が返り血でないと興奮できないシカゴの街の人々の娯楽観念には、もはや粋さえも感じられる。
女体の曲線が時にしなやかに、時に激しくうねる様子は非常に扇情的で美しく、煌びやかなショーの数々に心を奪われる贅沢な110分間。

殺してやりたい男がいても悪に成りきれない多くの女たちにとっては、自らの衝動を解放し、悪いのはアイツで、報いが当然!という風に振る舞える悪女の姿が魅力的に見える。
網タイツやファーのコートよりも、女をセクシーに見せるのは銃だと決まっていて、美しければ彼女らの罪は常に許されるのだ。

少女には人形を、女には殺人犯を。
女ですら虜にし熱狂させるロキシーの魅力は、言わずもがなキュートでかつ人殺しであるということで、人を殺すほどの激情を少しも想わせない可憐な顔つきがかえって彼女の悪を際立たせている。

だから彼女はむしろスターになり得た。
大袈裟でしつこいほどに法廷で嘘をつき、演技し弁護され、それらは全てでっち上げだと誰もが知っている。それでも彼女が無罪なのは「美しいから」。
悪女の前に男も女も平伏すクレイジーな世界の照明に、心地好い目眩がする。
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