あでゆ

007 スカイフォールのあでゆのレビュー・感想・評価

007 スカイフォール(2012年製作の映画)
4.9
◆Story
MI6のエージェントのジェームズ・ボンドは、NATOの諜報部員の情報が記録されているハードドライブを強奪した敵のアジトを特定し、トルコのイスタンブールに降り立つ。その組織をあと少しのところまで追い詰めるも、同僚のロンソンが傷を負ってしまう。ボンドは上司のMからの敵の追跡を最優先にとの指令により、後から駆け付けたアシスタントエージェントのイヴと共に、敵を追跡する。

◆Infomation
007のコードネームを持つイギリスの敏腕諜報員、ジェームズ・ボンドの活躍を描くスパイ・アクションのシリーズ第23弾。上司Mとの信頼が揺らぐ事態が発生する中、世界的ネットワークを誇る悪の犯罪組織とボンドが壮絶な戦いを繰り広げる。『007/カジノ・ロワイヤル』からボンドを演じるダニエル・クレイグが続投。監督に『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデス、共演には『ノーカントリー』のハビエル・バルデム、『シンドラーのリスト』のレイフ・ファインズら、そうそうたるメンバーが結集。イスタンブールをはじめ世界各地でロケが行われた美しい映像も見もの。

◆Review
「ノー・タイム・トゥ・ダイ」に向けて復習として視聴したのを記録。
間違いなくボンドシリーズ最高傑作といえる一級品の作品。特にオープニングシークエンスはシリーズ全体の白眉ともいえる出来で、BGMの演出、優雅なアクションシーン、バイクでのチェイスなどの素晴らしい繋がりの後に、シームレスで繋がるオープニングテーマは完璧というほかない。
オープニングではないが、ネオンライトのような背景の前で暗闇の中戦うシーンなど、本作は全体を通して映像が非常に美しいのも注目点だ。

「カジノ・ロワイヤル」から続いてきたクレイグ・ボンドでの自己言及的な精神はこの作品で極まり、本作ではボンドの影のような存在と対峙する。前作までは新人として描かれていたボンドが、この作品では急に老兵として扱われ、一気に時間軸が飛んでボンド映画の最終回を描いてしまう。

この比喩は「カジノ・ロワイヤル」から引き続き、ボンド映画というものの存在そのものを比喩しているが、ここで行われるのはボンド映画の葬送ではなく、再生である。
だからこそ、ショーン・コネリーボンドに地続きでつながるような、アストンマーチンやQの存在といった要素も散りばめられており、時間軸が歪んでいるような、不思議な味わいがある。
ボンドガールについても、前作から引き続いて挑戦的な意識があり、それに気がついた時にあっと言わされる。本作で亡くなる女性とは誰なのか、というところが焦点になるだろう。

唯一本作が勿体なく感じてしまうのは、アデルのオープニング、電話番号の誤訳である。いや、意味としては半分間違ってないのだが、ダブルミーニングなのだから、「番号」という意味で良かったと思うのだ。
あでゆ

あでゆ