yukihiro084

007 スカイフォールのyukihiro084のレビュー・感想・評価

007 スカイフォール(2012年製作の映画)
4.8
劇中にウィリアム・ターナーの作品が
出てくる。華やかな頃の戦艦の姿ではなく、
解体を待つだけの寂しい戦艦の絵だ。

ダニエル・クレイグのボンドになって
007シリーズはいろいろ変わった。
ます時間軸が生まれた。
カジノ・ロワイヤルのボンドは007でもなく
殺しのライセンスもなかった。
たった3作目の今作では年寄り扱いを
されていた。007は、サザエさんや
のび太やまる子みたく歳をとらないと
思っていたが、違うらしい。
この間まで新人だったのに、
もう世代交代とか言っている。
展開が早過ぎる。
また時間軸が生まれたことで、
本当のシリーズの様相を見せ始めた。
点ではなく線になることで、
人物や背景に、これまでの作品にない
深みが生まれ、ストーリーに広がりが
生まれた。

キャンパスが広がったことで、
1度目より2度目、2度目より3度目と、
観るたびに面白さが増してゆく作品に
なった。この作品は2回は観た方がいい。
ダニエル・クレイグボンドの中では、
一番の出来だと思っているけど、
カジノロワイヤルも捨てがたい。
ヴェスパー。

アデルの主題歌。撮影監督のロジャー・
ディーキンスの神がかり的な仕事ぶり。
Qやマネーペニーの魅力的なキャラクター。
ハビエル・バルデムの予測不可な壊れっ
ぷり。そして完成されたダニエルボンド。

ジュディ・デンチのスピーチは、
Mの悲壮な矜持や覚悟、そして身体中
から血を流し続ける傷さえも感じさせて、
息をのむシーンになっている。

3度目のスカイフォールは、
傑作として、僕の前に現れた。
yukihiro084

yukihiro084