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007 スカイフォールのkuuのレビュー・感想・評価

007 スカイフォール(2012年製作の映画)
4.0
『007 スカイフォール』
原題Skyfall.
映倫区分G.
製作年2012年。上映時間143分。

007シリーズの第23作で、『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』に続きクレイグ・ボンド3作品目。

『アメリカン・ビューティー』のサム・メンデスがメガホンをとり、シリーズ初のオスカー監督が手がける007となってます。
ボンドガールは仏女優ベレニス・マーロウと英女優ナオミ・ハリス。
悪役に『ノーカントリー』のハビエル・バルデム。
M役はシリーズおなじみのジュディ・デンチ。

各国のテロ組織に潜入している工作員を記録したMI6のハードディスクが何者かに奪われ、ボンドは犯人を追いつめるが、MI6の長官Mの命令で放たれた銃弾に撃たれ、橋の上から谷底へと落ちていく。
Mはリストが奪われた責任を追及され辞職を迫られるが、これを拒否。
しかしその直後、リストを奪った犯人によりMI6のオフィスが爆破され、さらなる犠牲者を出してしまう。
このニュースを見たボンドは再びMのもとへ舞い戻り、現場へ復帰。
犯人の手がかりを求めて上海へと渡る。

余談から始めます。
今作品が英国で公開された数日後、本物のMI6、秘密情報部(S.I.S.)は『The Times』と『The Sunday Times』に
"If the qualities that make a good spy is obvious, they wouldn't make a very good spy. "
(優れたスパイになる資質が明白であれば、あまり優れたスパイにはならないだろう。)
ちゅう見出しの全面広告を掲載した。この広告の目的は、本作のジェームズ・ボンドのような映画フィクションのスパイにまつわる伝説や神話を否定することにあり、現実のスパイの仕事は『高速カーチェイスや銃撃戦』を行うのではなく、また平均的なスパイは『世界を飛び回る秘密工作員』ではなく、現実のエージェントの心理的プロフィールを見ると、実際には『はるかに普通の人』であることがわかると述べてる。
また、白人男性のスパイというステレオタイプを否定し、『真実は、英国人である限り、性別や出身地は気にしない』と。
このユーモラスな広告キャンペーンは、MI6の最もオープンな採用活動の一つとされてる。
しかし、スパイらしく、この広告では、依然として最大限の秘密主義と厳格な守秘義務を警告しており、潜在的な候補者に対して、応募していることを誰にも開示してはならないと忠告している。
こないな夢のない話を見聞きしても007の魅力は消えない。
むしろ、人種を越えたスパイがいるのなら、英国在日日本人のMI6もいてるのかと思うとワクワクする。
まぁ、スパイは日本で云えば忍者かな。
忍者も同じ様に映画で描かれる飛んだり跳ねたりチャンチャンバラバラと戦わず主に諜報活動やったと云われるし、日本版の007は松尾芭蕉やな。

あ!今作品の印象にのこる場面があります。
M(ジュディ・デンチ)が桂冠詩人アルフレッド・テニスンの『ユリシーズ』という詩の一節を印象的に語るとこなんか熱い。

Thongh much is taken, much abides ; and though
We are not now that strength which in old days
Moved earth and heaven ; that which we are; we are
One equal temper of heroic hearts,
Made weak by time and fate,
but strong in will
To strive, to seek, to find, and not to yield.
多くのものが奪われたとはいえ、まだ残るものは少なくない。
その昔、地をも天をも動かした剛の者では今はないとしても
今日の我らは斯くの如し、である
英雄的な心がもつ共通の気質は、
寄る年波と宿縁で弱くなったとはいえ、
その意志力は強く、努力し、求め、探し、そして屈服することはないのだ。 

扨、本作品は何度目かの鑑賞です。
この映画の解釈は主題歌を作詞し、唄うアデルがうまいこと表現してます。歌詞と共に書いていきます。
先ずは時間があればYouTubeで聴いてから読んで頂ければ幸いです。

https://youtu.be/DeumyOzKqgI


This is the end
Hold your breath and count to ten
Feel the earth move and then
Hear my heart burst again
アデルの解釈(敵役シルヴァの語り)
和訳
もうこれでおわりやで!
せやし、覚悟して息を止めて10まで数えてくれ。
地球が動いているのを感じ、ほんでそこから耳を澄まし、心臓がまた激しく脈を打ち始めているのがわかるはず。

For this is the end
I've drowned and dreamt this moment
So overdue I owe them
Swept away I'm stolen
アデルの解釈(MI6所属のころシルヴァは拷問されよった時、カプセル自殺を目論んだんやけど毒が身体を巡っただけで死ぬことはできひんかった記憶を思い出す。
映画内やと捕まってMI6に拘留されている時、M相手に死のうとした時の苦しみを語っとる入れ歯を外してみせるとこはリアル)
和訳
もうこれで終わりやろうけど、
こう云う終わり方を今までずっとずっと夢に見てきた。
遂にこの時が来た、早過ぎるってわけちゃう。
運が尽きただけ。
だから波にのまれたように、姿を消す。

Let the skyfall
When it crumbles
We will stand tall  And face it all together
Let the skyfall,
When it crumbles
We will stand tall And face it all together
At skyfall
That's skyfall
アデルの解釈(サビは同じ繰り返しやけどはじめはシルヴァ。)
和訳
スカイフォールは忘れていい
全てが崩れ落ちる時、
胸を張って、一緒に受け止めよう
スカイフォールは忘れていい。
全てが崩れ落ちる時、
胸を張って、一緒に受け止めよう。
スカイフォールで。

Skyfall is where we start
A thousand miles and poles apart
Where worlds collide and days are dark
You may have my number, You can take my name
But you'll never have my heart
アデルの解釈(1000マイル=遠く離れた場所という広義の意味で捉え。
"ナンバー"の解釈は"電話番号"とか"住所"とか出てるが、これって”007”のナンバーちゃうかな。
007の意味はイギリスの秘密諜報機関MI6で殺しのライセンスを持つ者のナンバーやし。
つまり001、002、003〜とおるわけで。
その中の007ナンバーはジェームズ・ボンドに与えられてる。
だから、007のナンバーも、ボンドの名前もどうでもええんやって意味。
これは映画の後半、ボンドがMとスカイフォールへ逃避行をする決意。
その行動は首相の許可無く行なっていること。
この逃避行でMI6を首になっても構わへんとボンドはMへの忠誠を尽くし、守りぬくという決意で行動に出ている。
サビ=ボンドの語りと考えてええ)
ジェームズボンドの公式映画シリーズで2回目となるM(Dame Judi Dench)の家に侵入する。
その時、Mは『二度と私の家に侵入しないで!』と云ったけど、彼女は今作品でそれについて言及しない。

和訳
スカイフォールは私達の出発点
そこは遠く離れた場所。
そこで対立が生まれ、失意の日々が始まった。
世界がぶつかり合い、日々に暗闇が立ち込めたら、ナンバーや名前は譲ってやってもかまわない。
しかし、魂だけは絶対に売らない。

Let the skyfall
When it crumbles
We will stand tall  And face it all together
Let the skyfall,
When it crumbles
We will stand tall And face it all together
At skyfall
アデルの解釈(映画のクライマックス、スカイフォールの教会で遂にMを捕まえたシルヴァ。
Mと頭をくっつけて、一発の銃弾で二人で死のうとけしかけるシルヴァ。
その時の気持ちを表したもの)
和訳
スカイフォールは忘れていい。
全てが崩れ落ちる時、
胸を張って、一緒に受け止めよう。
スカイフォールは忘れていい。
全てが崩れ落ちる時、
胸を張って、一緒に受け止めよう。
スカイフォールで。

Where you go I go
What you see I see
I know I'd never be me without the security
Of your loving arms keeping me from harm
Put your hand in my hand and we'll stand
アデルの解釈(3番はMの語りで
シルヴァとの戦いの地スカイフォールで最後の決着を付けよう。
ここで受け止めようという決意の表れ)
和訳
あなたの行くところへ私も行き、
あなたが見るものを私も見るけれど、
私はきっと自分自身になることはできない。
あなたの愛にあふれた腕は、私を危険から守ってくれる?
手を握って一緒にこの時を耐えましょう。

Let the skyfall
When it crumbles
We will stand tall  And face it all together
Let the skyfall
When it crumbles
We will stand tall And face it all together
At skyfall

Let the skyfall
We will stand tall
At skyfall
アデルの解釈(ボンドと共に逃避行を始めたMの気持ちかな。
不安を口にしたいけど、ボンドは部下やさかいに、威厳は崩すわけにはいかへんし不安を露わにする自分自身にはなれへん。
シルヴァに追い詰められてもボンドが守ってくれる不安と期待。せや、今スカイフォールまで追い詰められたんやから、ここで最後の戦いをするしかあらへんと云う決意。
サビ=Mの語り)
和訳
スカイフォールは忘れていい。
全てが崩れ落ちる時、
胸を張って、一緒に受け止めよう。
スカイフォールは忘れていい。
全てが崩れ落ちる時、
胸を張って、一緒に受け止めよう。
スカイフォールで。

スカイフォールは忘れていい。
胸を張って受け止めよう。
スカイフォールで。

今作品は、それまでの007映画の中で最も多くのプロダクト・プレースメント(コンテンツの中に広告商品を取り込み、より自然に生活者に訴求する手法)が行われたけど、23年ぶり『License to Kill』以来、新しい車のモデルを紹介することも、主要なアクションシーンで車を強調することもない。
『ダイ・アナザー・デイ』以降のボンド映画では、フォードのプレミア・オートモーティブ・グループ(当時はアストンマーチン、ランドローバー、ジャガー、ボルボなど)が製造するさまざまな車が登場していた。
しかし、『慰めの報酬』の撮影後、フォードは海外メーカーのポートフォリオを完全に解消し、それに伴って製品配置の取り決めも廃止しあ。
そのため、今作品にはフォードは登場せず、ランドローバーやジャガーの既存の生産車も短いショットでしか登場しない。
本作で唯一じっくりと描かれているのは、『ゴールドフィンガー』で初めて登場し、ボンド映画6作に登場したボンドの名車『アストンマーチン DB5』です。
ボンド映画のアイコンとして、また自動車の名車として、DB5が映画に登場することは、プロダクトプレイスメントの契約の一部ではありませんでした(ただし、アストンマーティン社は、最新のVanquishとDBSモデルを初期の映画に有料で登場させていました)。
アストンマーティンは、『007スペクター』のプロモーション契約の一環として、当時の新型モデル『DB10』を導入したため、このような特徴を持つ近代ボンド映画はこれが最後となった。
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