津軽系こけし

グランド・ホテルの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

グランド・ホテル(1932年製作の映画)
4.7
悲劇と忘却の都


【震え上がった】

⬛️空間の美学と濃密な脚本に優れた30年代の傑作。グレタ・ガルボをはじめ当時の一流俳優らが名を連ねて、人間の愛と悲劇を鮮烈に描き出します。

⬜️時代をまるで感じさせない濃密さに感嘆とさせられます。奥行きを駆使したショットも印象的で、チェック模様の床がその奥行きを妖しく暴露している。まるで「グランドホテル」という無情の世界に踏み入ったことを、我々にそっと気付かせているようです。

【脚本とグレタ・ガルボ】

⬛️その中でも特に素晴らしいのが脚本です。人物それぞれが密接に関わってるのに、一つのアクションだけで、そこに永久の布石を作り出している。また、そのアクションを克明に映すショットも驚異的でした。

⬜️脚本だけでなく役者も驚異的です。特に私はグレタ・ガルボに感動しました。彼女特有の流麗な発音が耳に効き、神々しいという他ない美しさが画面すら支配している。ジョンバリモアと抱擁を交わすカットに至っては、女優の恐ろしさを痛感させられるほどでした。

まったく恐ろしい女だ

【まとめ】

🏨おおよそ1932年の映画とは思えない。少ないながらもそれなりに映画を観てきた時分で言うと、現代のほとんどの映画がこれを超えられてないような気がする。そのくらい確固たる面白さがあった。

いろんな意味で、30年代という恐るべき時代を痛感させられる作品であった。
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