むさじー

妻は告白するのむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

妻は告白する(1961年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

<魔性の女・若尾に見る妖艶にして壮絶な美>

恋の炎に身を焦がす女と、不信感に愛が冷めていく男。
愛のためならどんな犯罪でもするという女と、真実を知り倫理観からそれを断罪する男。
無罪を勝ち得た根拠は、我が身を守るための緊急避難的動機という主張だったが、真相は愛する男を助けたい一心からだった。
その動機を不純と決めつける男の発想の単純さ、稚拙さは、元カノから「愛を理解できない男はそれだけで罪」と弾劾されてしまう。
ドラマの内容としては“今さら”の感があるが、何と言っても若尾文子の女の情念というか、恐ろしいまでの凄味に圧倒される。
ラスト近く、雨にずぶ濡れになりながら幸田の会社を訪れる、ストーカー然とした彩子の姿には、魔性を宿した妖艶さと言えようか、壮絶な美がある。
全編刺激的で緊張感に満ち、タイトルから昼メロを連想するだろうが、それをはるかに超えた傑作である。
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