こたつむり

デス・レース2000年のこたつむりのレビュー・感想・評価

デス・レース2000年(1975年製作の映画)
2.5
★ チキチキマシン猛レース(デストロイ版)

あくしゅみ【悪趣味】(名・形動)
① 品のよくない趣味。「 -な服装」
②人のいやがることをわざとやって喜ぶような性格や態度。また、そのさま。

とデジタル大辞林からコピペしたくなる作品でした。何しろ“デスレース”とはアメリカを横断しながら“人を轢き殺す”レース。口が裂けても「趣味が良い」なんて言えません。

しかも、轢き殺す対象によって点数が違うのです。女性は男性よりも点数が高く、子供や赤ちゃんになれば更に高得点。そして、最も高いのは老人。足腰も弱っていますからね。大量得点で大逆転もあり得るのです。

ね。悪趣味でしょ。
今のご時世ならば絶対に許されない“ドイツの鉤十字”も登場しますからね。良識派は観ることが出来ない作品なのです。

これがロジャー・コーマンの破壊力。
“B級映画の帝王”と呼ばれる所以が分かった気がします。また、本作を仕上げたポール・バーテル監督も“カルト映画の奇才”と言われているとか。それも納得です。

だから、社会に対する風刺なんて建前だけ。
グロ(車で轢き殺す)とエロ(おっぱいポロリ)とスピード(主観映像は迫力あり)を描いただけの作品に仕上がっているのです。その割り切り方は清々しいほど。

そして、本作の最大限の見どころは。
若かりし頃のシルベスター・スタローン。
なんと主人公のライバル役で出演していましたよ。我らがヒーローの“貴重な姿”は、本作を少しだけ引き締めていました。

まあ、そんなわけで。
B級映画なのに異様な迫力に満ちた作品。
ひたすらに“悪趣味”を観たいときにはバッチリですね。ただ、物語としてはB級以下。サスペンス要素が皆無なので欠伸が出るほどに退屈です。寝不足時は注意ですね。

それにしても、アメリカで高評価ゆえに“本作のリメイクが存在する”という事実に背筋が寒くなるのは…間違っているでしょうか。まあ、銃を乱射するよりも映画で発散したほうが健全だと思いますけどね。
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