あなぐらむ

初春狸御殿のあなぐらむのレビュー・感想・評価

初春狸御殿(1959年製作の映画)
4.8
気持ちが暗くなる事も多い年の瀬ですが、お正月にぴったりな映画を。
戦前から作られている「狸映画」を勝新、雷蔵、若尾ちゃんほか大映オールスターでミュージカルにした、とっても楽しい一作。

各地の民謡を水谷良重ほかが歌い踊り、若尾ちゃんも光学合成で二人、三人! さすがの雷蔵の甘み、ビフォー座頭市の勝新も朗らかで新鮮。

大映の美術の粋、特撮技術の高さ。関西ではおなじみOSK総動員の華麗なレビューに見惚れるばかり。菅井一郎(狸役)、トニー谷に江戸屋猫八と顔ぶれも多彩。河童女?には大映の陰のヒロイン毛利郁子の姿も。
木村恵吾のからりとしたメリハリある演出で、快作「最高殊勲夫人」の年の輝く若尾ちゃんを堪能できる。

腰元の水谷良重がハスキーボイスで百合の花をマイクに歌うシーン、さすがジャズシンガーだけあってグルーブがあり素晴らしい。彼女は大映専属ではないけれど、悪名シリーズや宿無し犬など出ると印象に残る。河童ガールズはこの時代としては破格のセクシーさ。後半にはマヒナスターズも登場。和製ミュージカル映画で楽しいお正月に。