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パラダイス・アレイのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

パラダイス・アレイ(1978年製作の映画)
4.0
1946年。ニューヨークの片隅にヘルズ・キッチンと呼ばれるスラム街があった。地獄の台所という名の通り、貧しい移民たちがそこでは生存競争に明け暮れていた。そのうちの1人、イタリア移民の子、コスモ(シルヴェスター・スタローン)は、このヘルズ・キッチンで生まれ、成長し、弟のビクター(リー・カナリート)や、兄のレニー(アーマンド・アサンテ)と、貧しいながらもなんとか生活していた。レニーは3兄弟の中で1番頭もよく、将来性のある青年だったが、戦争で片脚を痛め、今は葬儀屋の助手をしていた。コスモは、ダンスホールで働くアニー(アン・アーチャー)をくどき続けているが、返事はいつもそっけなかった。ある酒場で顔を合わせた3人兄弟は、金儲けの話しをしていて、ちょうど居合わせた酒場の亭主のスティッチ(ケヴィン・コンウェイ)とその子分のフランキー(テリー・ファンク)らと、ある賭けをすることになる。それは、兄弟の中で1番腕っぷしの強いビクターとフランキーに腕ずもうをさせようというものだった。結果はビクターの勝利でフランキーのもっていたペット・モンキーを手に入れるが、このことで兄弟はスティッチの深い恨みをかうことになる。ヘルズ・ギッチンでも、最もガラの悪いナイトクラブパラダイス・アレイでは、フロア・ショウという呼びもののレスリングが行なわれていて、大男のビッグ・グローリー(フランク・マクレー)が100ドルの賭金で客の挑戦に応じていた。コスモに連れ出されたビクターはキッド・サラミと名乗ってリングに上がり、見事初試合でグローリーを倒し100ドルを手にした。そこでビクターは、本格的にレスリングのトレーニングを開始した。クリスマスが近づいた頃、レニーは1000ドルという賭金でビクター対フランキーの試合をセット・アップし、それが評判をよび、試合の行なわれる日、パラダイス・アレイはかけつけた客で熱気にむせかえった。いよいよ試合開始、実に23ラウンドに渡る死闘の結果、遂にビクターがダウンするが、判定に文句をつけたコスモに襲いかかったフランキーの態度を見て、ダウンしかけたビクターが起き上がり、フランキーの巨体を観容席に投け込んだ。勝った!リングの上で抱きあった3人の兄弟に観客の声援はいつまでも続くのだった。
シルヴェスター・スタローンが、初監督したヒューマンアクション映画。
監督、脚本に専念するため口の達者な次男コスモを演じているが、スタローンの憎めない如才の無いキャラクターも珍しくハマっているし、真面目なレニーと力自慢のビクターと小利口なコスモ三兄弟の葛藤と強い絆を軸に、がむしゃらに成功を求めて突っ走る青春群像劇が爽やかで、テリー・ファンク指導によるプロレスシーンも迫力があり、洗練されてはないけどスタローンの演出の冴えの原石を目撃出来るスタローン初監督作。
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