サイクロプス

ニュー・シネマ・パラダイスのサイクロプスのレビュー・感想・評価

4.5
"映画"のお葬式と受け止めた

新年最初に選んだのは、ずっと前から気になっていた「ニュー・シネマ・パラダイス」
でも手に取るまで、イタリア映画であることすら知らなかった恥


初老の男、サルヴァトーレの少年時代と青年時代の回想で組み立てられたこの映画
少年時代のシチリアの田舎町での"映画"に寄せる村人達の渇望が印象的だ
見覚えのある女優の写真があまた飾られ、ヴィスコンティの名前が語られる
教会を兼ねた映画館には老人から子どもまでが集まり、映し出される映像に夢中でかじりついている
ほかに娯楽もなくテレビもないこの時代において、"映画"は絶対的なメディアであり、文化供給装置だ
その村に新設された映画館は、タイトルになっている"Nuovo Cinema Paradiso"と名付けられる
まさにそこはParadiso(天国)だった

数十年後、サルヴァトーレがシチリアに帰ってきたとき、映画館は人気(ひとけ)のない廃墟となっている
村人は「テレビやビデオがあるからね」と語る
このとき、あの熱狂的な空間を作り出した"映画"は死んだのだ

逆説的なことに、"映画"を弔っているこの映画「ニュー・シネマ・パラダイス」に私はのめりこんでいる
たしかに映画館での鑑賞ではないけれど、大きな興奮をもって映画にかじりついている
そしてfilmarksの1万件を超えるレビューをみれば、この極東の島国でも多くの人がこの映画に引きつけられたことがわかる
映画はかたちを変えて再生し、21世紀の現代にも大きな影響を与え続けている


TSUTAYAのPOPに、この映画は映画好きが好きな映画と書かれていた
かつての名作がちりばめられていて、懐古趣味をくすぐる面もあるだろう
でもなにより、観終わった後に「やっぱり映画って素晴らしいよね」と心から思えるところに、大きな理由があるんじゃないかと思う