梅ちゃん

ニュー・シネマ・パラダイスの梅ちゃんのレビュー・感想・評価

5.0
シチリア島のとある田舎町の映画館を舞台に、父親のいない少年トトと映写技師の老人アルフレードの愛溢れる関係性を描く。時に友達であり、時に父子である2人の関係性が微笑ましく、とても愛おしい。とりわけ少年トトの愛らしさといったら、それはもう規格外。

映画が娯楽の王様であった時代、映画は人々の生活の一部だった。映画館における2人の交流は、常に人々の生活と共にあり、それこそが街の生活の記憶となる。トトを愛するが故に、郷愁に縛られることなく未来へ踏み出すことを諭したアルフレードの愛情が、強く胸を打ちました。

ラストのトトに託されたアルフレードの形見は、彼等がそこで生きた証であり、トトが手放した郷愁を具体化したものであったと思う。力強く愛を訴えるそれは、直前の過剰なまでの劇場爆破シーンとの対比により、その尊さが際立ちました。

今回、区切りの1,000本目。これまでに鑑賞していなかった名作を、満を持しての鑑賞でした。誰もが一度は耳にしているであろうテーマ曲も素晴らしかった。本作は名作と讃えられることに違いない作品であり、映画が好きで良かった、鑑賞できて心から良かったと思わせてくれる素晴らしい作品でした。

『自分のすることを愛せ。』
よし、頑張る。