HicK

ニュー・シネマ・パラダイスのHicKのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

《映画愛のかたまり》

【映画愛】
映画を愛する人たちが作った作品なんだなぁ。映画が最大の娯楽だった時代、人々にとってどれ程大切なものだったかが当時の観客を通して伝わってきた。アルフレードのトトへの助言も映画のセリフから引用。トトでなくても映画好きにとっては、この作品の雰囲気から溢れる"映画の香り"がグッとくる。

【今を生きろ】
映画のセリフでトトを導いていたアルフレードだが、最後は自分の言葉で彼を送る。ジーンとくる演出。「戻るな。ノスタルジーに浸ってはならない。今している事を愛せ」そして母のセリフの「思い出はまぼろし」という言葉。その通り素敵な思い出が詰まったシネマ・パラダイスは取り壊されていく。「まぼろしは心に秘め、今を生きろ」そんな思いを感じ、とても印象的なメッセージだった。

【ノスタルジー】
トトが30年ぶりの帰郷をはたすシーンは、彼の抑えていたノスタルジーが溢れ出し、彼と一緒に温かい気持ちになった。アルフレードからの贈り物も言葉以上の愛を感じた。

【ステキな演出】
劇中は画で魅せる場面が多く、とても素敵な演出がたくさんあった。建物の壁に向かって徐々に進んでいく映写機からの映像であったり、アルフレードがトトの顔に手を当て青年期に移り変わる場面は自分のお気に入り。監督は30歳でこの映画を作ったとは思えないほど、芸術性に溢れている。

【総括】
この作品は映画の良さを映画にしたような、セリフ以上の感情を画で語るというまさに映画の芸術性に溢れていた。映画愛の塊。
HicK

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