【 帰ってくるな 私たちを忘れろ
手紙も書くな 郷愁に惑わされるな
自分のすることを 愛せ
子供の頃 映写室を愛したように 】
映画に使い込んだ 50リラの 牛乳代
【 館内での 落し物だ 】
アルフレードは ポケットマネーを出して
庇ってくれた
アルフレードの優しさが
トト少年の人生を決定する
トト少年は アルフレードに従い
同じ 映写技師になる
勢いよく回る 映写機
少年の人生という活劇
喜びや悲しみを繰り返し
恋を知り やがて 少年は 青年となる
その傍らには いつもアルフレードが居た
【 人生は お前が観た映画とは違う
人生は もっと困難なものだ 】
アルフレードは 心を鬼にしたに違いない
この村と この仕事に縛られていては
トトの将来がない
映画人として成功したトトのもとに
届いた アルフレード死去の報
30年ぶりの 故郷
【 彼はあなたを騙してはいない
あなたを理解した唯一の人よ
私と結婚したら 映画作りは
出来なかったわ 】
回る映写機は フイルムが切れても
回ることをやめない
それは 死してなお トトが感じる
アルフレードの 愛
