O

ニュー・シネマ・パラダイスのOのレビュー・感想・評価

3.5
映画に魅了された少年トトと
言葉は荒いが思いやりと優しさに
満ちた孤独な男アルフレードとの
友情の物語。

夫が戦死した事を受け入れられず、
貧しい生活や育児に追われ、
ノイローゼ気味になっている
母親が、時に映画に夢中なトトに
当たってしまうのもリアルです。
彼女自身が不自由だからこそ、
自由奔放なトトが小憎く思えて
しまってならなかったのでしょう。

しかし母親に反対されてもなお、
映画への情熱を失うどころか
その魅力にのめり込んでいく
姿は、私たちが大人になるに
つれて忘れ去ってしまった大切な
モノを思い出させてくれます。

僻地の村にある唯一の
娯楽施設であった映画館。
時に友人、恋人、そして家族たち
とかけがえのない思い出を紡いでいく、
彼らにとっての映画館とはそういう
唯一無二の場所だったのだと思います。

今現在も映画館は人々の憩いの場で
あることに違いはありません。
しかしながら、私たちの世界は
あまりにも多くの娯楽で溢れています。
だからこそ、純粋に映画を愛する
映画の中の彼らが私たちにその
気持ちを思い出させてくれるの
かも知れません。

『もうお前とは話さない、
お前の噂を聞きたい』

『帰ってくるな、私たちを忘れろ』
『ノスタルジーに
惑わされるな、 全て忘れろ』

『自分のすることを愛せ、
子供の時映写室を愛したように』

言葉は厳しくてもアルフレードの
不器用で愛に溢れたセリフに
泣かずにいられませんでした。
O

O