けいすけ

ニュー・シネマ・パラダイスのけいすけのレビュー・感想・評価

4.9
ジュゼッペ・トルナトーレ監督作品。

自分が
何かを見失いそうになった時、
自信を失い路頭に迷った時、
悩みに苦しみ目の前が真っ暗な時、
そんな時にこの映画は、一筋の光を灯してくれるような気がする。

アルフレードの遺したフィルム。
トトの少年時代からの一途な映画愛。
エレナとの出会い、そして別れ。
母との再会。
30年ぶりの村の景色、人々。

この映画の全てが人生とは何か、教えてくれているような気がする。ただ決してはそれは模範解答ではないし、正しい道を指し示す誘導灯でもない。路頭に迷った我々へのヒントとして、これからもずっと「古典」として残る作品であろう。
印象的なアルフレードのセリフがある。

「この場所から出ろ。ここにいると自分が世界の中心にいると感じる。何もかも不変だと感じる。だが2,3年も他にいると、何もかもが変わってる。頼りの糸も切れる。会いたい人もいなくなってしまう。一度ここを出たら、長い年月帰るな。年月を経て帰郷すれば、友達や懐かしい土地と再会できる。
今のお前は私よりも盲目だ。人生はお前が観てきた映画と違う。人生はもっと困難なものだ。行くんだ。お前は若い。もうお前と話したくない。お前の噂が聞きたい。
帰ってくるな。私たちを忘れろ。手紙を書くな。ノスタルジーに惑わされるな。自分のすることを愛せ。子供の時、映写室を愛したように。」

このシーンを観た時、全身に雷が走ったような気がした。この映画はヤバイ、と笑。こんなにたくさんのことを教えてくれる作品があるのか、と。

まだ観てない人は、絶対に人生で一度は観た方が良いと思った。

<あらすじ>
舞台は戦後間もないシチリアの村。教会と兼用の映画館は村で唯一の娯楽施設であった。村に1人しかいない映写技師の名はアルフレード。官能的なシーンを毛嫌う厳格な教会の司祭は上映前にチェックし、キスシーンをアルフレードにカットさせていた。映画好きなサルヴァトーレ少年、通称「トト」は、何度も映写室に忍び込んではアルフレードに追い返されていた。ある日トトはカットしたキスシーンのフィルムを譲ってくれと頼むが、アルフレードは拒否する。初めは犬猿な仲であった2人であったが、様々な出来事をきっかけに、次第に歳の差を越えた友人関係となっていく。トトはアルフレードから映写機の操作技術を教えてもらうようになっていた。しかし、とある日に事件は起きる。映画を上映中にフィルムに火がつき、それがきっかけで映画館が火事となり、アルフレードは一命を取り留めるも失明してしまったのだ。仕事を続けられなくなったアルフレードの代わりにトトが映写技師として引き継ぐことになった。
それから、思春期を迎え、初めての恋を経験するトトであったが、ある日アルフレードはトトに村を出ろと声をかける。それは村に留まり一生を村の映写技師として費やした自身の人生の自戒を込めた、また、愛するトトの将来に賭けた期待を込めた言葉であった。その言葉通り、トトは村を出ることになり、以来30年村に戻ることはなかった。
それから、遠い年月が過ぎ、かつての「トト」、サルヴァトーレに訃報が届く。アルフレードだ。村へ30年ぶりに戻ったサルヴァトーレが見た村の景色。人々。そして、かつての映画館「シネマ座」。そして、アルフレードが生前に「トト」に遺したものとは。。
けいすけ

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