みつば

レベッカのみつばのレビュー・感想・評価

レベッカ(1940年製作の映画)
4.2
両親を亡くし、貴族の話し相手としてモンテカルロへ来た主人公は、イギリスの大富豪マキシムと出会い恋に落ちた。
マキシムは1年前に前妻レベッカをヨットの事故で亡くしていた。結婚し、彼の邸宅マンダレーへ入ることになった主人公。邸宅はレベッカに尽くしていた使用人ダンバース夫人が取り仕切っていた。彼女は主人公を受け入れようとはせず、主人公は死んだレベッカの影に悩まされていく。

レベッカを崇拝するダンバース夫人役ジュディス・アンダーソンが素晴らしい。
漆黒の長いワンピースでマンダレーを歩く姿は、足元があまり見えず、音も無く忍び寄る影のようです。
主人公を見下し、じわじわと嫌がらせをしてくるので、死んだ人間よりも生きている人間の方がはるかに恐ろしいと思います。
無表情でレベッカの話を主人公に聞かせる彼女が、後半では狼狽える表情を見せると、あんなに怖かった彼女に少し同情してしまうのが不思議。

主人公役ジョーン・フォンテインは、屋敷でどう振る舞えばいいのか戸惑う姿を、見事に表現していました。
レベッカは、美貌と聡明さを兼ね備えた完璧な女性であるのに対し、主人公は一般家庭の出で、特別な能力がない平凡な女性。それが一変大金持ちと結婚し、お屋敷に入ることになったため、気後れし、怯えた様子でもあります。
唯一の味方マキシムは忙しい上に、前妻を亡くした過去から抜けられずにいるため、癇癪を起こすこともしばしば。

この主人公である女性に名前は無く、マキシムでさえ一度も名前を呼ばないため、それがレベッカの存在の大きさに拍車をかけています。
対するレベッカは写真すら出てこず、唯一外見が分かるのはちらりと映る肖像画だけなのに、ダンバース夫人の病的とも言える崇拝も手伝って、その存在感は圧倒的。
中盤、マキシムがレベッカについて話をするシーンでは、画面には人物が写っていないのに、まるでレベッカが部屋の中を歩いているかのように動いていき、今までの流からレベッカの姿が見えるような気がしてきます。
そのマキシムは大きな秘密を抱えていたのですが、その秘密が判明した後も更にもう一転あるところも見どころ。最後までハラハラとスリルが続き、飽きさせることはありません。
ラストは1940年に撮られたとは思えない迫力の映像に驚くばかりです。

ただ、字幕が酷すぎるので注意。