ヒッチコックがハリウッドに移っての最初の作品。微笑ましいラブロマンスが展開される前半。そこからゆっくりとホラーチックなサスペンスへと豹変していく様が恐ろしい。
1年前に死んだ前妻レベッカ。その彼女の影に脅かされる主人公の新妻。ここで一つポイントなのが、そのレベッカの姿は劇中で全く現さないこと。
登場人物の会話のみで、どんな人物だったかを知らされる程度なのに、姿は無くとも物語が進む度にその正体が明かされていく感じにゾクゾクします。
そしてそのレベッカが乗り移ってるかのような素振りを見せる家政婦長のダンヴァース夫人を演じたジュディス・アンダーソン。突然現れる幽霊のような佇まい。主人公を追い詰める言葉の応酬など、彼女の怪演が本当にエゲつない。アカデミー獲ってないのが不思議なくらい。
ラストもなかなかのインパクト。レベッカという一人の女性に翻弄された人々の運命を表しているような終わり方でした。アカデミー作品賞受賞も納得の一作。