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レベッカのKSatのレビュー・感想・評価

レベッカ(1940年製作の映画)
3.9
モンテカルロで巡り合った英国の金持ちと知り合った平凡なアメリカ人女性が結婚するが、いざ住み始めた屋敷には死んだ前妻レベッカの気配が残っていた...という、ヒッチコックの名作。

レベッカの姿は劇中で一切うかがえないあたりが不気味ではあるが、幽霊めいた表現はあまりない。正直、ホラー映画としては微妙だ。

しかし、レベッカを異様に慕う家政婦長の「ダンヴァース夫人」の不気味な表情や気付くと後ろにいる感じはなかなか巧い。

何よりもこの映画の主役は、屋敷だろう。豪華絢爛でありながらもどこかこの世の物ならざる退廃的な雰囲気に満ちているし、清潔感はあるが生活感も充分感じられるようなリアリティがある。映画のセットとは思えない。

小屋でローレンス・オリヴィエがことの顛末を語る一人芝居は好き嫌い分かれそうだけど、迫力満点。目には見えない存在を捉え続けるカメラも異様だ。

謎解きが全部台詞頼みなのはちょっとアレだが、ラストは素直に怖い。とはいえ結局のところ、スリラーの要素よりも結婚について考察したメロドラマの要素の方が強いのかもしれないね。
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