ひでG

ビフォア・サンセットのひでGのレビュー・感想・評価

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)
4.0
リチャード・リンクレイター監督はチャレンジャーだなあ〜!すごいなあ!

この頃、もう平行して「6才のぼく」を撮ってたのかな?

この映画は「サンライズ」から9年後の二人の再会の1日、いや数時間を描いているんだけど、

「再会のパート2」的なものと全然違う!

って言うか、普通の恋愛映画とかなり違う!

恋愛映画特有の恋愛的ディフォルメが全くない。

感傷的なBGMも、劇的な演出も一切ない!

あるのは、二人の会話、会話、会話、、、


81分て短い映画だけど、これ以上はもう無理って、凝縮されている。

だって、全編喋ってるんだよ、二人だけで。

もう、イーサン・ホークとジュリー・デルピーって役者さんが演じているってことも忘れちゃうぐらい。
自然、自然!

じゃあ、単に自然に会話してるだけかって言うと、そうじゃないんだよ、これが。

ロマンチックな演出は一切排除してるのに、
ロマンチックだったり、
切なかったり、
きちんと、いや、感傷演出の恋愛ドラマより、よっぽど伝わるんだよなあ!

アメリカの街で会ってたんだって、くだりは「わあ!そうだったん!」て、観客が唸ってしまう!
たけど、オーバーな演出はゼロ

バリの街並みだって、これみよがしに写したりしない。背景に写し込むだけ。
でも、すごく効果的なんだよなあ。

カメラワークも秀逸。
例えば、二人で水上バスに乗るシーン。会話してる二人が建物の影になり、時々暗くなる。
それだけなのに、なんか二人の気持ちの揺れを表しているみたいに感じる。


セリーヌのアパートを訪れるシーンの階段。
「ああ、二人は時間の流れに逆らおうとしているんだな、迷いながら、、」て、
エロチックなセリフも映像もないのに、ちょっとドキドキさせる。

ご本人たちが9年後を演じているのだから、当然だけど、
時間の長さを感じるよね。
変わったものど、変わらないもの。

二人の会話からも、その時間の虚しさ、厳しさがビンビンに伝わってくる。


比べたらいけないけど、エールも込めて、あえて最近の邦画恋愛劇と比較してみるね。

「8年越しの花嫁」
とても真面目に撮ってて、よい作品なんだけど、
8年の歳月の長さが全く感じられなかった〜。
佐藤健と土屋太鳳が全く変わらないだもん。
せめて、体型とか髪型とか別のことで描かれたなら、もっとよい作品になったんだけどな、、、

時間の残酷さが全く描けてないのが残念!

恋愛映画作ろうとしてる人には、「教科書として」観て欲しいとさえ思う名作です!

何気ないようだけど、セリフもかなり意味深い。欧州とアメリカの文化や社会そのものへの見方の違いなんかも、垣間見える。

9年前よりこの時のセリーヌ、ジュリーデルピーの方が好き!
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