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クレージーの殴り込み清水港のmitakosamaのレビュー・感想・評価

3.0
クレイジー映画後期ではかなりの傑作。
そしてシリーズ唯一の世界観を統一した続編作品。無責任清水港の続編として、ハナの次郎長・植木の追分三五郎・谷の石松とキャストも続投。

次郎長の旧友の親分から清水に助けを求められる。新興の組の借金を返すための金を工面しに娘が訪ねてきたので、石松に150両持たせて使いの旅に立たせる。
途中、追分の三五郎が事情も知らず大事な金をチョロまかすが、さらにスリにあってしまう。
大事な金が無くなり、三五郎と石松が策略で、敵ヤクザと悪代官を戦わせ共倒れにさせようとするが…

ヒロインが村の親分の娘役の内藤洋子。喜多嶋舞マミー。可愛いが演技はちょっと下手ぃな。ベランメェ調のヤクザ言葉を話すがまるで団地の子供だ。

この村の名前が下張戸村。ゲバルトってのが時代を感じるわ。(学生運動用語で体制に対する暴力行為の事。ゲバ棒、内ゲバなど。)

悪代官屋敷で捕まるが、勝手に縄脱けして敵ヤクザ一家とを行ったり来たり。お互いに嘘を吹き込み内紛を誘う。このくだりは当時の浅草東宝で笑ったなぁ。まさに韋駄天流の本領発揮ですわ。

敵一家の用心棒に座頭市キャラの用心棒(天本英世)代官側にも黒澤の用心棒を模したキャラが出てきて、この辺のパロディも面白い。

次郎長一家がフグに当たるというのも史実にあったエピソードをアレンジして話に盛り込んでいるらしい。

石橋エータローの脱退前なのでメンバー7人が揃った最後の映画でもある。
更に言えば今作以降の4作品はナベプロ制作・東宝配給となり、東宝主導の制作・配給の肩書きの作品は今作までとなる。
その意味でも東宝クレイジー映画の最後の灯火と言っても良いかもしれない。
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