LalaーMukuーMerry

刑事ジョン・ブック/目撃者のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

4.6
昔見て(少なくとも10年以上前)印象に残っている私の中の名作をもう一度シリーズ その6
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基本プロットは、殺人事件の目撃者となってしまった幼い少年が、「犯人は彼」と指さした先にあった写真から動き始める、刑事ジョン・ブック(= ハリソン・フォード)の物語。…なのですが、この作品の主役は、なんと言ってもアーミッシュの人々です。こんな人たちが現代のアメリカに実在しているとは全く知らなかったから、私には大きなカルチャーショックで強烈に印象に残っている。
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***** アーミッシュ *****
アメリカ、ペンシルベニア州などに居住するドイツ系移民の集団。アメリカ移民当時の生活様式を守って暮らす人々。農耕や牧畜を行い、自給自足の生活が基本。そのため商用の電気なし(水車や風車で起こした自家発電を蓄電池に充電して使う程度)、電話なし、自動車なし(馬車で移動、法で義務付けられているウインカーは充電器を利用して光る明りをとりつけている)。コミュニティ内の人々の結びつきは強く、新婚カップルが生まれた時は、村人総出で新しい家を建ててあげる…
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アーミッシュの幼い少年がとても可愛い。追手から逃れるために、文明から切り離されたアーミッシュの村に傷ついた身を潜めた刑事と、少年の母親であり未亡人だったレイチェルとの間に生まれる恋愛感情。住む世界の違う二人の決して結ばれることのない愛は現代のロミオとジュリエットのようでもある。事件解決後に村を去る彼と、彼女との間で交わされる感情を抑えた表情だけのラストシーンと、余韻を深める音楽が素晴らしかった。
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久々に観たけれど、ますます放っておけないと感じ、惹かれてしまうアーミッシュ。グローバル化が進み、AIが人間の仕事の大部分を奪うことが予想される未来に、人間はどんな暮らしをしているのだろう? 美しい風景と、強い絆で結ばれた人々、自給自足の生活…、アーミッシュの人々の暮らしは、その答えの方向性を示しているのかもしれない…。