こたつreboot

刑事ジョン・ブック/目撃者のこたつrebootのレビュー・感想・評価

4.1
★ 俯瞰の美学で構築された良作。

某有名漫画家さんオススメ…ということで鑑賞しましたが、いやぁ。相変わらずハズさない御方ですね。本作も見事に面白い作品でした。

タイトルからするとサスペンス。
…なのですが、その裏側には異文化(アーミッシュ)との交流…というドラマもあり、一粒でふたつ美味しい物語。まるで、牛丼とカレーを一緒に食べたいから“牛あいがけカレー”を作ってしまえ!みたいなお得感です(雑な喩えでスミマセン)。

というか、メインディッシュはドラマ部分。
事件を解決するために生きてきた男と、質素に日常を積み重ねてきた女。価値観が違う二人が交錯した先に生まれる感情。そこに思わずシビレて憧れてしまうのです。視線がね。優しいのですよ。

主人公を演じたのはハリソン・フォード。
どうしても《ハン・ソロ》の影響でニヒルな印象が先行しますが「郷に入っては郷に従え」と異文化を尊重するところに柔軟な思考が透けて見えて、懐の大きさを感じさせてくれる良い役柄でした。

また、村の人々が集まって納屋を作る場面なんて、とても感動的。ただ建物を作るだけなのですけどね。穏やかに暮らす“アーミッシュ”の文化が、じんわりと伝わってくるのですよ。

そう。本作が良いのは “語らない”こと。
友情を育んでも言葉を交わさないし、愛情を確認しても目を逸らすのです。

この“もじもじ”感がね。たまらないのです。
肉食文化のハリウッドらしくないのですね。語弊を恐れずに言うならば、アーミッシュの価値観は農耕民族である日本人に受け入れやすいのでしょう。質素で堅実。それが日本人の美徳ですからね。

まあ、そんなわけで。
自然を大切にする文化がアメリカの広大な大地に根差している…それを観るだけでも僥倖の作品。ハンバーガーを頬張りながら銃撃戦を楽しむのも良いですが、たまには心が洗われるような作品も良いですね。

ただ逆に言えば。
サスペンスに期待すると肩が下がるのは確実。
あくまでも“事件”はスパイス。大草原の向こう側に落ちる夕陽を際立たせるだけの存在…と割り切っておいた方が無難だと思います。