イペー

ディス・イズ・イングランドのイペーのレビュー・感想・評価

3.8
イングランドであばれるくん!

1980年代初頭のイギリス、フォークランド紛争で父親を亡くした少年が、スキンヘッズに傾倒していく経緯を描いた青春映画。

サッチャーの就任間もない当時のイギリスは、国力が弱っている只中。旧植民地からの移民の大量流入で、多くの白人が職を失っていました。不満を募らせて右傾化する人々も多かったようです。

主人公のショーンは小学生くらいのガキンチョです。イジメられて傷心のところを慰めてくれた縁で、スキンヘッズのお兄さんたちに仲間入りします。坊主頭デビューです。

お揃いのファッションで粋がる彼らも、やる事といえば廃屋の中で暴れたり、喫茶店でダベったり、と可愛いもの。リーダー格のウディが仲間想いの熱い男で、ショーンを暖かく見守る姿も優しくてステキ。

部活の延長のようにのどかな彼らの元に、かつての仲間、コンボが現れる辺りから不穏な空気に。彼は刑務所の中でゴリゴリの差別主義者に変貌を遂げていたのでした…。

初めて自分を仲間として迎えてくれたウディ。アブナイ思想に傾倒し、過激な言動を繰り返すコンボ。
タイプは違えど、自分を仲間と認めてくれた両者に、大好きだった父親の姿を求めるショーン。

物語の終盤に起こる事件で、ショーンくんは、コンボもまた、自分と同じ弱さを持っていることに気付きます。
敵を作ることでしか居場所を確保できなかったコンボも、憐れでちっぽけな存在なのでした。

ある決意を持って、ショーンが"イングランド"と決別するラスト。それは同時に、亡き父親との決別を意味するのかもしれません。
そこには、独り遊びで孤独を慰めるいじめられっ子はもう、いませんでした。

当時の政治的な背景や、社会情勢も絡み、トレインスポッティングの様な疾走感を期待すると、ガッカリする方もいるのかな。
ファッションや音楽のカッコ良さは決して引けを取ってないですし、地べたを這う様なリアリティがあって、とても優れた青春映画だと思います。

…若かりし頃、ずっと坊主頭だったんです、自分。スキンヘッズの彼らに、必要以上に感情移入してしまいました。
誰かにナゼ坊主にしてるか訊かれると、「反省のため」って答えてました。
何、このエピソード…。