アラサーちゃん

ディス・イズ・イングランドのアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

3.5
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「ディス・イズ・イングランド」
サッチャー政権下のイギリス。母親と二人暮らしの10歳の少年ショーンは、学校で服装をからかわれたことがきっかけで、スキンヘッドの不良グループと親しくなる。リーダー格のウディは、ショーンの頭を剃ったりシャツをプレゼントしたりと可愛がる。そんなある日、ウディの元に刑務所帰りの旧友コンボがやって来た。彼は外国人排他に傾倒しており、ウディやウディの恋人ロルはコンボから離れていくが、ショーンはコンボの元で右翼活動を行っていく。2006年、英。

イギリス映画らしくバックミュージックがとてもよいです。私は音楽さして詳しくないのでアレなんですけど、好きな人は好きなんじゃないかと。
センスいいですよね。「リトルダンサー」レベルなら分かりますが、これの曲は「いいなー」と思うけど全然わかんない。

音楽のセンスもしかりですけどファッションも面白い。男の人のほうがこういうの好きなんかな。ドクターマーチンのブーツに、ベンシャーマンのシャツ。こういう80年代のイギリスカルチャーが垣間見れて楽しいですね。

はじめはダラダラと若者の低俗文化に染まる男の子が描かれるのかと思ったら、コンボが出てきてからかなりシビアになっていきます。
タイムリーにもイギリスのEU離脱があったばかりだし、大きな社会問題にして、こういう小さなコミュニティにもたくさんの影響を及ぼしてるんでしょうね。
難しい問題だからこそ個々に考えさせられる部分があり、デリケートな話題での彼らの会話の中では結構、「言葉が交わされない中に彼らの真意を読み取る」というシーンが多かったように思います。

観ていると「トレインスポッティング」や「アメリカンヒストリーX」をどことなく思い出すテイスト。似ているわけではないんだけど、掠めているというか。これ↑ふたつに比べるとマイナーもマイナーですが、なかなかよかったです。
スキンヘッズの中に黒人が混じっていたり、ショーンの父はフォークランドの戦線で亡くなっていたり(今の戦争マニアックぶりにはたまらないこの設定)。こうした細々した下敷き部分が非常に良い働きをしていて、低予算映画ならではの雑然さも◎。
主人公が10歳というところがまたいいですね。この子、よく演じたなあと惚れ惚れしてしまうね。