kaz

ディス・イズ・イングランドのkazのレビュー・感想・評価

4.3
これぞまさにタイトルそのものズバリな英国映画。
個人的に好きな映画『トレインスポッティング』や『SWEET SIXTEEN』なんかのイギリス特有の作品の感触にも似た社会派青春映画でした!

主人公がぽっちゃりダサめで生意気な12歳?ぐらいの少年だったので、最初はちょっと憎たらしい感じだったんですけどw、80年代に流行したスキンヘッドの不良たちと出会ってから一気に引き込まれました!

とにかくこの不良たちがイカすんです。
ロールアップジーンズにドクター・マーチンのブーツ。ベンシャーマンのシャツにサスペンダー。そしてハット。一周回って真似したくなるファッションがカッチョいい!

キャラも粒ぞろいで個性的。何気にお母さんも良いキャラやし、どぎついメイクのスメルっていう彼女とのやり取りも妙に良い。

しかし今作は単なるファッション・音楽のオサレ映画ではないのです。
途中とある人物の登場で一変する空気…得体の知れない不穏な緊張感が漂います。

言うなれば、『イングロリアス・バスターズ』のクリストフ・ヴァルツや『グッドフェローズ』のジョー・ペシにも通じる、何を考えているのか分からない、どこでスイッチが入るか分からない、そんな緊張感。

偏りすぎな思想の描写は何となく『アメリカン・ヒストリーX』をも想起しました。

ラストの後味は予想通りビター。
しかし凄い傑作に出会ってしまった感。
英国好きなら是非観ておきたい逸品なのでした…!
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