ほーりー

さよなら子供たちのほーりーのレビュー・感想・評価

さよなら子供たち(1987年製作の映画)
4.4
シンプルなプロット、淡々とした演出、それだけでもこれほど観る者を感動させることができる、ということを改めて思い知らされた。

「死刑台のエレベーター」のルイ・マル監督が自身の幼少期をもとにした描いた作品で、ヴェネツィアで金獅子賞を、セザール賞も作品賞はじめ主たる賞を総なめにした名作である。

「死刑台~」や「地下鉄のザジ」だとテクニックの部分の方が目立つ感じだが、本作はそういう狙った演出というのは微塵も感じさせない。

舞台は1944年のドイツ占領下のフランス。ミッション系スクールの寄宿舎で暮らすジュリアン・カンタン少年を通して物語は描かれる。

ある日、ボネという転校生が現れる。ボネは成績は優秀だが、何故か周りに溶け込もうとしない。彼のことが気になったジュリアンは、次第にボネと仲良くなるが、同時に彼の秘密も知ることになる。

ジュリアンやボネをはじめ、子供たちの描き方が実に丁寧でそして美しい。

夜遅く自分のベッドの上で蝋燭に火をつけ祈りを捧げるボネ、隣のベッドからそれを横目に見るジュリアンの顔にポーッと灯りが映る場面なんて美しさに思わず溜め息がもれた。

しかし、愉しそうな学園生活は長くも続かず、やがて戦争の暗い影が屈託のない子供たちにも徐々に忍び寄っていく。

ラストの子供たちの表情には胸がえぐられるようだった。
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