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ハービー/機械じかけのキューピッドのMOCOのレビュー・感想・評価

3.5
「僕の代わりにレースに出ろ
僕の車で出るなら修理が大変だぞ」
「私が乗るのは彼だけよ」
「本気か?」
「ハービーしかいないわ」

 1969年に公開されたフォルクスワーゲン・ビートルの「ハービー」が活躍するウォルト・ディズニー映画「ラブ・バッグ」(レビュー済み)のシリーズを継承する映画、通算5本目の作品です。
 「ハービー」の名付け親はその第一話にあたる「ラブ・バッグ」に登場する頭が少し弱いメカニックのテネシーです。
 テネシーはいつも負けているミドル級のボクサー、ハーブおじさんの潰れた丸っこい鼻とワーゲンのボンネットが似ていることから『ハービー』と呼ぶのですがその事にふれるのは第一作の中の一瞬だけです。

 出逢い、レース、卑劣なライバル、確執、再びレース・・・。と、1969年の「ラブ・バッグ」のリメイクと言っても良い展開ですがオープニングで過去の「ラブ・バッグ」シリーズのハービーの映像を使い、その後のハービーの物語感が強く出ます。若さ溢れる恋愛が絡んで「ラブ・バッグ」シリーズよりぐっと若い青春映画の様なフレッシュな仕上がりです。

「意思疏通できる車を手放す人がいる訳無い!」にも関わらず、車のオーナーがなぜかハービーを手放し、毎回新しいオーナーとのお話しになるのですが、ディズニーらしい楽しい映画です。

「ラブ・バッグ」を知らない世代でも充分楽しめる映画ですが、知っている世代にはワクワク度2倍です。

「あのビートルとまた会える・・・」この映画の発表は1974年に本国ドイツでの生産を終えたビートルが1998年TVのニュースで「ニュービートル発表!日本販売未定」と取り上げられた衝撃に似た感覚がありました。
 ハービーは映画の中で「1964年製ワーゲン」と言われているのでリアルタイムとすると36年がたち、廃車寸前のボロボロの姿になり解体業者に引き取とられてくるところから物語ははじまります・・・。
 そこに大学を卒業して就職までの街にいる1ヶ月だけ使用する車を求めにマギー(リンジー・ローハン)と父親がやって来て普通なら誰も買わないボロボロのそのワーゲンを購入するのです。
 マギーはハービーに誘導されるかのように高校の同級生ケヴィンの自動車修理工場へ・・・。

 マギーのペイトン家はカーレースが生業、マギーは才能はあるのですが過去に大事故を起こし父親からレースを禁じられています。ところが部品調達に訪れたカー・ショーでハービーはマギーの意思とは関係なく暴走?スター・ドライバーのトリップ・マーフィ(マット・ディロン)とレースすることになり、勝利してしまうのです。その様子をTV中継されたトリップ・マーフィはマギーを挑発し賭けレースでハービーを手に入れるとハービーを二度と走ることができないように・・・。

 レーサーの家業を継いだのは兄レイ・ペイトン・ジュニアですがレースの才能は無し。予選を通過した後、事故で車もジュニアもクラッシュ・・・と、なったら出るしかないでしょマギーが!っていう展開です。

 マギーはスクラップ寸前のほとんど走行不能のハービーを取り返すとケヴィンとチームペイトンと一晩かけてリストア&チューンナップ&レース仕様にドレスアップし父親には内緒でNASCARに参戦、トリップ・マーフィに挑みます。
 最下位スタートのハービーは・・・。

 特撮技術の向上でハービーの感情表現は格段にアップ、まるで子犬のような動きのハービーを大好きになってしまいます。
 大好きと言えば、今回ハービーが恋をするのはイエローのニュービートル「歳が違いすぎる二人(二台)」ですがドレスアップした1964年式のビートルは全く見劣りしないカッコイイ仕上がりです。

 ちょっとだけトランスフォーマー並みの動きもあって「バンブルビー」(レビュー済み)は設定を真似したでしょって疑いたくなってしまいます。

 レースの行方は?マギーとケヴィンの恋の行方は?そしてハービーの片思いは?
 
 ラスト、レイ・ペイトンがするデートの注意が素敵なオチに・・・。
 
 
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