ひゅうどんこ

話の話のひゅうどんこのレビュー・感想・評価

話の話(1979年製作の映画)
4.5
◎ソ連原題:『Сказка сказок』は、おとぎ話の物語の意味で、トルコの国民的詩人でありながら時の国家からは投獄され迫害を受け続けた、ナーズム・ヒクメットの詩からとったとも、ヘブライ聖書の雅歌からとったとも云われているらしい
英題:『Tale of Tales』も同じ意味らしい
日本初公開 1996年2月20日


 ロシア語版Wikipediaではこの作品を、、
┈ その詩学と使用された技術において、~(中略)~アンドレイ・タルコフスキーの絵画、パブロ・ピカソのグラフィックス、そして日本の絵画に近い ┈と言っています。

この事からもある程度想像出来る通り映像の形を借りた、叙情詩であり叙事詩であり叙景詩でもあるため、ストーリーはあってないようなものですが、その発するエネルギーは、時に朗らかに時に痛烈にと、自由自在に迫ってきます。
切り絵由来のアニメーションとは思えないほどの力強さです。撮影台に溜まったホコリ(誇りじゃなくて埃だよ!)すら素材にしてしまう貪欲な創作魂が現れるのは意外にもほのぼのとしたシーンだったりします。

 ユーリ・ボリソヴィチ・ノルシュテイン監督の作品の殆んどで、美術監督を奥さんのフランチェスカ・ヤールブソワさんが務めています。
担当パートは違えど、日本で例えると市川崑・和田夏十のような夫婦二人三脚一心同体での作品造りに、ちょいと羨ましさもおぼえます。

 アメリカの映画芸術科学アカデミーをして「史上最高のアニメーション映画」と謂わしめた本作。
監督自身、技術革新めざましいCGアニメが嫌いだと語っていて、確かにその躍動感ある画に慣らされた現代人には、些か物足りなさも感じられるかもしれません。それを補って余りある、、何でしょう、私にはそれがなにがしと言い切れませんが、その何かに引き寄せられまた観たくなる、そんな作品。

アメリカ人🇺🇸ルーカスが詩を描いたら『アメリカン・グラフィティ』になったし、
イタリア人🇮🇹フェリーニが詩を描いたら『アマルコルド』になり、
ロシア人🇷🇺ノルシュテインが詩を描いたら『話の話』になった。。と言ってしまったら、飛躍のし過ぎとお叱りありますかね🤭


『話の話』
https://youtu.be/vTowzpTwv4s





┅┅┅❬余談その他❭┅┅┅


◎露🇷🇺国語原題:『Сказка сказок』と『Skazka skazok』の違い

 レビュー書き始めて10秒後、方々でロシア語原題として上記二つが並ぶことに気づき、筆が止まり、数時間頭を抱えることになる🤷
キリル文字表記とラテン文字表記の違いのようだが、誰か早く言ってよ~(ノД`)ノ

私のように、無駄にロシアの成り立ちやキリスト教の伝播について調べなくてよいように、こんな分かりやすくて便利なものもある
    ↓↓↓
ジェーニャちゃんねる様より
【ジェーニャのスカッとロシア語】3分で分かるキリル文字(前半)
https://youtu.be/C_zOmJIE-Lg

【ジェーニャのスカッとロシア語】3分で分かるキリル文字(後半)
https://youtu.be/Rm44c7MI46E