こたつむり

鉄と鉛 STEEL & LEADのこたつむりのレビュー・感想・評価

鉄と鉛 STEEL & LEAD(1997年製作の映画)
3.7
♪ 喜びも哀しみも幸福も嘘も
  すべては儚い夢の中の夢
  永久に続く虹など
  誰も見向きもしないだろう

自分の人生は残り22時間。
だけど、彼は探偵として生きる。
困り顔の女の子のために最後まで人を探す。
たとえ命が燃え尽きたとしても、指を伸ばし続ける…そんな物語。

うはぁ。熱いですねえ。
しかも、そんな主人公を演じるのが渡瀬恒彦さん。渋いっ。渋すぎるっ。

そして、主人公をサポートするのが成瀬正孝さん演じるヤクザ。彼の命を狙っているのに…うん。それ以上は書きませぬ。何しろ、ベタな展開。チョコボくさい…じゃなくて男臭いのが最高です。

しかも、演じたお二人はプライベートでも仲が良かったとか。気心知れた仲で仕事をする…ってある意味で“怖い”のですが、本作ではどうだったのでしょうか。作品と同じようにバチバチとやり合った…としたら最高を超えて尊すぎるのですが。

ちなみに仕上げたのは、きうちかずひろ監督。
あの『ビー・バップ・ハイスクール』の原作者ですが、マンガと違って構図にも拘られていて、映画の方が向いている、なんて思うほどでした。ギャグセンスはマンガと同じでしたけど。

あと、カーアクションも見事な仕上がり。
諸外国と違って規制が多い日本にしては、限界まで攻めていたと思います。あれ以上のものを求めるならば、まずは国民の意識(つまり法律)から変えないとダメでしょう。

ただ、拳銃の使い方は微妙な感じ。
この辺りはアメリカには敵いませんな。
でも、それは日本が平和な証拠ですからね。雰囲気さえ壊さなければ良いのです。

まあ、そんなわけで。
映画で大切なのは脚本とか演出とか言いますが(僕も積極果敢に言っていますが)本当に大切なのは“魂”だと思う今日この頃。本作は紛うことなく格好良い“魂”の形をしていました。

こういう作品が増えれば邦画の幅も広がると思うのですが…女性層に訴求しないからダメなのかなあ…。
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