マヒロ

死への逃避行のマヒロのレビュー・感想・評価

死への逃避行(1983年製作の映画)
2.5
「鷹の目」と呼ばれる探偵の男(ミシェル・セロー)は、ある金持ちの家から息子が謎の女にたぶらかされているのではないかどうか調査してほしいという依頼を受ける。調べていくと、その息子には恋人と思わしき女性(イザベル・アジャーニ)が確かにおり仲睦まじい様子だったが、彼女は突然その息子を殺して立ち去ってしまい……というお話。

何やら凄腕っぽい雰囲気を醸し出している探偵と、出会う人を殺して回るという異常な女という組み合わせはフィルム・ノワール的な展開を予想させられるが、実際は2人は殆ど邂逅することもなく、探偵のおっさんがぶつぶつ独り言を言いながら様々な国を周り金持ちを殺し続けるイザベル・アジャーニ(偽名を沢山使っていてなんで書けば良いか分からないので役者名で呼ぶ)をひたすら追いかけ回すだけというだいぶ変な映画だった。
探偵鷹の目は何がしかの出来事により過去に娘を失っているようで、おまけに何故かイザベル・アジャーニをその娘と重ね合わせてしまっており、頼まれてもいないのに勝手に死体の片付けをしたり、彼女と良い仲になった男に父親のふりをして接近し脅しつけたりと好き勝手をやりだす。独り言を周りに聞かれて、は?みたいな反応をされても毎回すっとぼけて誤魔化したりして、最初は変なオヤジだなぁくらいのもんで面白かったんだけど、本当にずっとブツブツ喋ってるし、追いかけ方もあまりにも偏執的なのでだんだん怖くなってくる。全然関係ないはずのアジャーニにどういう理屈で娘を連想したのかがもうちょっと分かれば良かったんだが、そこら辺はかなりぼやかされているので、ただ単に余所の女の人を勝手に娘の名前で呼んで付け回す変態にしか見えないのがなんとも。
イザベル・アジャーニが身分を隠すという名目の元とにかく変装しまくり様々な姿を見せてくれるので、一種のアイドル映画的な側面もあったのかもしれないけど、それにしては探偵のおっさんのアクが強すぎて上手く行ってない気もする。珍品として楽しむ分には割と悪くないようにも思えるけど。


(2020.99)
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