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ありふれた事件のTSのレビュー・感想・評価

ありふれた事件(1992年製作の映画)
3.7
【殺しに酔う狂気の男】78点
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監督:レミー・ベルヴォー他
製作国:ベルギー
ジャンル:犯罪
収録時間:96分
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殺人犯がカメラマンを通して殺人を犯していくというモキュメンタリー映画。故に全編を通してPOV式でありますが映像酔いはそれほどしません。ただし、日常茶飯事のように殺人をしでかすので見るにはそれなりの精神力が必要。モキュメンタリーではありますが、この主人公ベンのようなサイコパスみたいな人間は多からず存在するのでしょう。すれ違うだけで絞め殺されるとかたまったものではない。そんな事がほとんど起こらない我が国日本の治安の良さも改めてわからされました。

殺人犯ベンは殺人をして金儲けをするという人間。「俺の殺人の瞬間を見せてやる。金もやる。だから撮影しろ」というスタンスでカメラマン二人を振り回し好き勝手していきます。彼のポリシーは、金にならない犯罪はしない、老人しか狙わない、若者と子どもは狙わないというものです。子どもを狙わないのは意外かもしれませんが、極論金にならないからです。カメラマンは誘拐をすれば?と作中問いかけますが、誘拐はリスキーであるためやらないようです。このように、一応は自分で絶対的なルールを決めて動いてる模様。しかも、自分の家族には優しい感じですので完全なるサイコパスではない感じ。しかし、やってる事は決して許されないことですし、陽気にドヤ顔でカメラマンに向かい自分の美談を話すところを見ると唖然としてしまいます。

人間の倫理性について考えさせられる一品。虫螻のように人を殺めるその感覚。ある意味害虫を殺す時の人間も同じような感覚を持っているのかもしれません。決して良い気分になるものではないですし、大変胸糞悪く感じるかもしれませんが、こういうのを一つの映画として出してきたことは評価出来そうです。
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