こたつむり

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1のこたつむりのレビュー・感想・評価

2.3
皆様ご存知の大ヒットシリーズ最終章(前編)。

ついに物語も終盤に…とか。佳境を迎えて…とか。そんな書き出しから始めたかったのですが、淡々とイベントを消化する作品だったので、そのような気力は湧き上がらず…。正直なところ、心が揺れたのは冒頭の数分…ハーマイオニーが決心する場面だけでした。

まあ、1つの物語を2つに分けていますからね。
後編の準備運動として、地を舐めるほどに突き落としてくれれば“前編として合格”だと思ったのですけれども。うん。主人公たちと同様に敵方にも積み重ねるものが無かったので、それすらも出来なかったのですね。

やっぱり、ヒーローが輝くためには魅力的な敵が必要…だから、本作が面白いかどうかはヴォルデモート卿次第。しかし、第七作目に至っても“彼の想い”が見えてこないので、彼らの行いが「世界征服を行うニギュアー!」と叫びながら幼稚園のバスを襲う悪の組織のように思えてしまい…。物語に前のめりになれなかったのです。

そんな状況下でありますからね。
主人公たちの“目的”も相対的に薄らぐわけで。
ハリーが立ち向かうのは“復讐”のためなのか。それとも、“世界”を救うためなのか。その辺りが曖昧模糊としている状況では主人公たちにも感情を託せないのです。

だから、前後編に分かれているのは。
「興行収入欲しさに2本に分けたのでは?」という疑念が生じるのも当然。尺を長く取るということは、原作を細かい部分まで再現できる…ということだと思うのですが、原作もこんなに淡々としているのでしょうか。それならば、これまでと同様に間延びしている部分を圧縮すれば良かったのでは?と考えてしまうわけで…。

そんな暗澹たる気持ちの中で。
あえて良い部分を探すならば。
ハーマイオニー演じるエマ・ワトソンが美しく育ったことを堪能できた…のは微笑ましい限り。あ。あと、本作品の監督さん独特のサスペンスを盛り上げる演出は…嫌いではないですよ。まあ、本シリーズのイメージに合うかどうかは…微妙なところですけれども…。

何はともあれ。残り1作。
“本作で見限る”という選択肢もありますが…。でも、期待値が地面すれすれ、もしかしたら地の底まで潜り込んでいる状況下ですので、あとは上がるだけ…。たぶん楽しめると思っています…。はい…。

To be continued…→→→『ハリー・ポッターと死の秘法PART2』
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