変態的でグロテスクなフランソワ・オゾン版ヘンゼルとグレーテル。
鮮血の映える不気味な深緑の色調も、性的に倒錯した登場人物たちも、とにかく色々毒気が強い。
2人の男女が森で迷いこんだ家に監禁される、その設定は同じでも、2人は可愛らしい兄妹なんかではなく殺人を犯した恋人同士、家に居るのは変態で髭面の中年。そして少女は殺され、森を抜けて成長を遂げるのは少年だけ。
自分を愛する証拠として同級生を殺させ興奮を覚える、蠱惑的だけど歪んだ少女こそ、この物語における恐ろしい魔女なのかも。
楽園からの追放と原罪の重圧、そして逃げ出した先の滝でのシーン等、アダムとイヴのような象徴性もあり非常に寓話的な作品。凄く面白いけれど、あんまり人には勧められない。
配給:ユーロスペース