桜子

クリミナル・ラヴァーズの桜子のレビュー・感想・評価

クリミナル・ラヴァーズ(1999年製作の映画)
3.5
変態的でグロテスクなフランソワ・オゾン版ヘンゼルとグレーテル。
鮮血の映える不気味な深緑の色調も、性的に倒錯した登場人物たちも、とにかく色々毒気が強い。

2人の男女が森で迷いこんだ家に監禁される、その設定は同じでも、2人は可愛らしい兄妹なんかではなく殺人を犯した恋人同士、家に居るのは変態で髭面の中年。そして少女は殺され、森を抜けて成長を遂げるのは少年だけ。
自分を愛する証拠として同級生を殺させ興奮を覚える、蠱惑的だけど歪んだ少女こそ、この物語における恐ろしい魔女なのかも。

楽園からの追放と原罪の重圧、そして逃げ出した先の滝でのシーン等、アダムとイヴのような象徴性もあり非常に寓話的な作品。凄く面白いけれど、あんまり人には勧められない。

配給:ユーロスペース
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