菩薩

この首一万石の菩薩のレビュー・感想・評価

この首一万石(1963年製作の映画)
4.4
最低すぎて最高のド傑作、胸糞指数で言えば個人的にはトリアー、ハネケ、ザイドルレベル。

日雇い労働者が老害クソ爺に娘と結婚したいなら正社員になれって条件つけられて、とりあえず派遣社員になってはみたものの、早速上司がどでかいミスかましやがって、しかもそこにはガッツリ賄賂が絡んでて、それを隠蔽したいが為に煽てて社員にさせられて、はいじゃあ皆んなの為に死んでくださいねって自殺に追い込まれる話。ってか時代劇なんだけど、こんな話現代にもゴロゴロ転がってそうだし、そもそも若干今の自分の状況と被って(結婚以外)苦笑いが止まらず。発注元から下請け、孫請けへと移行する間にしっかりピンハネが発生するわ、金持ちは貧乏人を思いっきり下に見てるわ、結局面子なんてもんも全部金で解決されちゃうわ、強者が唱える「最大多数の最大幸福」が如何に個人の存在を蔑ろにするか、人は自分の体裁を保つ為にどんだけ身勝手な行動を取れるか、たかだか下郎の命はまったくもってカス同然の扱いしかされないか、もう結局世の中何百年もこの構図は変わってないよな。イタチの最後っ屁とばかりに一人反抗の槍を振り回すものの、結局事が大きくなればなるほど内々に済まされる、ん?相撲協会か?とにかくクソ、全編通してクソ、ただ富士山だけは綺麗だけど、偉大なる霊峰の前のちっぽけな人間どもは揃いも揃ってクソでした、最高だね。
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