カルダモン

バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>のカルダモンのレビュー・感想・評価

4.4
高校生の頃に苦手だった人がこの映画を好きだと言っていて、だからというわけでもないんだけど、なんとなくずっと観てこなかった映画でした。映画を観て少し当時の自分を反省しました。もしかしたら思い違いや思い込みをしているだけで、なにかしら話せることがあったかも、などと今更。

相手との距離感によって見える人柄は違う。遠ければ遠いほど得体の知れない別人種のように思えるし、こちらに近づいて来るとわかった途端に拒絶する。けれどもよく目を凝らして近寄ってみると、なんだよまったく私と変わらないじゃないか。なあんだ、と。

とある事情により閑古鳥の泣くバグダッドカフェにやってきた見慣れない風貌のドイツ人女性のヤスミン。最初のうちは馴染めずに変な目で見られるが、行く当てもなくカフェに併設されたモーテルに長逗留するうちに、カフェの店員や客との関係が混ざり合う。

見渡す限りに広がるモハーベ砂漠の渇いた土地と渇いたカフェは、やがてヤスミンの働きによって、あるいは人間に惹かれて、給水タンクが満たされるようにみるみる潤っていく。一方でタトゥー屋にとってはそれが居心地が悪く、モーテルを後にしてしまうのだが。


この映画のために作られた曲『Calling you』はジェヴェッタ・スティールによって歌われていますが、私にとって馴染みがあったのはホリー・コールのカバーでした。曲は散々聴いていたのに、映画を観ていないのはやっぱダメですね。今更ながらに歌詞を読み直して、あぁ、、ってなりました。