滝和也

恋はデジャ・ブの滝和也のレビュー・感想・評価

恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)
3.9
ゴーストバスターズの
コンビが贈る、
アメリカンクラシックの
懐かしさを想わせる
SFラブコメディ。

もしも同じ日を繰り返す
ならあなたは、
どうしますか?

「恋はデジャ・ブ」

主演がゴーストバスターズのビル・マーレイ。監督はそれにトリオの一員として出演したハロルド・レイミス。すっとぼけた二人が作った作品はSFであり、ブラックコメディであり、ラブコメかつハートウォーミングと言うジャンル分けできない盛り沢山の要素を含む良作でした(^^)

天気予報士のフィル(マーレイ)はプロデューサーのリタ(アンディ・マクダウェル)、カメラマンのラリーとある田舎町の年に1回のお祭りの取材に向かう。前日に町に付き、明けてお祭りの日。皮肉屋で田舎町が嫌いなフィルは悪態を付きながら、取材を終えるが、吹雪で帰れなくなり、もう一泊した。だが起きたその日はお祭りの朝。不思議に思った彼だが、同じ1日が繰り返され…彼はタイムループにハマり、何度も同じ1日を繰り返し始める…。

タイムループものとしての完成度、アイデアがまず素晴らしい。もしそうなったら…の妙なリアリティがブラックジョークとしてハマる前半。皮肉屋で嫌な奴が起こすイタズラに近いコメディが楽しい。またそこから、脱出しようとして起こすスラップスティックなシーンがまた笑える。

だが…それだけに終わらないのが、この作品を良作に変えている。前半はイタズラ心から始まるヒロイン、リタへの想いが本気になってからが、一気にハートウォーミングなストーリーに変化し、ラストまで一気に持っていく。終わったあとには爽やかな後味と素晴らしき哉、人生!の様な幸福感が残ると言う。まるでアメリカンクラシック作品の様な作風は監督達が子供の頃見た作品を狙って作ったのではないだろうか。

ビル・マーレイのすっとぼけた味が抜群にハマっていて、嫌な奴から1日を繰り返すことで成長し、魅力ある人物になる演出、演技も巧み。否定的に見ていた1日を肯定的に見ることで全く変わってしまう姿を見事演じています。(まぁあれだけタイムループしたら…成長しますよね(笑))

後…リタ役アンディ・マクダウェルは好みの女優さんなんですよね。普通の役なんですけど…ビル・マーレイと同じく多面的に個性が出るので楽しい。地味な美女なんですが、魅力的です(^^)

ジャンルの多面性の中、演技者の多面性が引き出され且つアメリカ映画の基本とも言える幸福感を与えてくれる良作です。これは是非見てほしいですね(^^)
滝和也

滝和也