イチロヲ

恋はデジャ・ブのイチロヲのレビュー・感想・評価

恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)
3.5
自己中心的な人生を歩んでいる中年男(ビル・マーレイ)が、不可思議なデジャヴュ現象により、町の祝祭日を何度も体験してしまう。ヒューマニズム(人間らしい生き方)の再確認を説いている、ヒューマン・コメディ。

午前6時で生活がリセットされる世界観の物語。昨今のビデオゲームとの重複がノイズになってしまうが、正しい選択肢が明確化されておらず、選択肢をやり直しても失敗続きになるため、ブラック・ジョークが利いている。

前半部は、やりたい放題できることに気づいた主人公が、ひたすら遊び保ける展開。後半部は、自己相対化に腐心する主人公が、他人の都合を受け入れることの重要性を諭していく展開。終局では「種の存続」へと鮮やかに着地していく。

「ヒューマニズムに則った人生を送ることができていない人間は、祝祭日を延々と繰り返している状態と同じである」というメッセージを推量することが可能。そして、深く考える以前に「それでもいいや」と思ってしまう自分がいる。
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