たけちゃん

大脱走のたけちゃんのレビュー・感想・評価

大脱走(1963年製作の映画)
4.5
何のために脱走するのか


ジョン・スタージェス監督 1963年製作
主演スティーブ・マックィーン、リチャード・アッテンボロー


シリーズ「娯楽映画で振り返る第二次世界大戦」
第3弾「大脱走」
ミニオンとは一切関係ありません( ¯−¯ )フッ


これは娯楽戦争映画の最高峰ですね~( ˘ ˘ )ウンウン
ジョン・スタージェス監督作としても、「荒野の七人」かこれか、という程の名作

娯楽作として、これ以上ない程に面白く出来ているが、それでいて、戦争行為の虚しさも上手に描いている。


冒頭からの「これは実話である」宣言(笑)
若干の映画的脚色を除き、本当に実話で、登場人物にはモデルがいる。時期としては、1943年から1944年にかけての話です。

作者はポール・ブルックヒル
実は、彼自身がこの収容所に収監されていた捕虜なんです。彼は閉所恐怖症だったそうで、脱獄作戦には参加しなかったんだが、それ故に生き延びて、戦後を迎えたそうですよ。すごい話だ。



収容所というと、アウシュヴィッツの様なものを思い浮かべるかもしれませんが、ドイツの収容所にはいくつか種類があります。

ユダヤ人を収容したアウシュヴィッツのような強制収容所はナチス親衛隊やゲシュタポによって管理、運営されましたが、今作で描かれるのは空軍管理の収容所です。ここは図書室や娯楽施設などもあり、収容所としてすごく快適で、ちょっとイメージと違うかもしれませんね。

快適にすることで、捕虜たちの脱走意欲を奪おうとしたらしい……。何だかなぁ(笑)


映画の中でも語られるのだが、脱走は自分が逃げたくて行うのではなく「将兵としての義務」として行っているんです。脱走することでドイツ兵が捜索に駆り出され、内部撹乱に繋がるのだという。

なので、開戦以来、戦時捕虜の脱走が後を絶たない。それに対して行われたのが、厄介な兵士たちをひとつに集めて、徹底した管理を行うことなんです。それがここ、「第3空軍捕虜収容所」、今作の舞台となる場所です。イギリス海峡から離れた内陸部に建造されました。


映画の内容は、とにかく見ていただくとして(笑)、キャストが素晴らしいですよね~。

独房王(クーラー)と呼ばれたアメリカ人ヒルツをスティーブ・マックィーンが演じます。いつも、グローブとボールを持って、独房に入りました!

スタージェス監督とは「荒野の七人」以来のタッグです。マックィーンはオートバイの腕を見せられるのならとオファーを受けたそうで、その結果、あの映画史に残るオートバイでの逃走シーンが描かれました。

しかし、実際の脱走ではアメリカ人は参加しておらず、一番有名なこのシーンが一番のフィクションだったというのが皮肉です(笑)


そして、もうひとり。
作戦の中心を担ったビッグXことロジャー・バートレットを演じたリチャード・アッテンボローです。

強いリーダーシップの必要な役でしたが、見事に演じていましたね~。「ジュラシック・パーク」のジョン・ハモンド役をやっていた人ですよ~\(^o^)/
この方、監督としても優秀で、今回のシリーズでも取り上げる「遠すぎた橋」とか「ガンジー」は、彼の監督作です( ˘ ˘ )ウンウン


その他、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンの「荒野の七人」メンバーやジェームズ・ガーナーなど、個性的なキャストがたくさん出ます。どの人物もしっかりと描かれていて、とても良かったですね。



もう一点、なんと言っても素晴らしいのは「大脱走マーチ」でしょう\(^o^)/
もう、この曲がかかった段階で、気持ちが高まります
( ˘ ˘ )ウンウン
作曲者は「荒野の七人」でも組んだエルマー・バーンスタイン。躍動感のある素晴らしいスコアを書きますよね~。大好きです(๑•̀ •́)و✧




1年以上かけてトム、ディック、ハリーという三本のトンネルを掘るのですが、実は、この大脱走を実施した後にジョージというトンネルも掘っているとか( ¯−¯ )フッ
その執念、凄すぎますね。

トンネル掘りの手法とかは、実際に行われていたものを忠実に再現しているらしい……。調達屋とか、どうやって手に入れるんでしょうね~(笑)


250名の脱走計画で、76名が脱走。しかし、成功したのはわずか3名。50名が処刑されたという今作戦。

娯楽映画としてはラストが悲惨すぎるので、スティーブ・マックィーンが独房に戻り、ボールを投げる音で終わっていくという素晴らしいラストシーンが追加されました!

ここが史実と違うということで、物議を醸したそうですが、映画としてはこれで満点ですよね( ˘ ˘ )ウンウン


次回は戦時下において繰り広げられる青春ムービー「メンフィス・ベル」をお届けします(。・ω・。)ゞビシッ!!