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ハッピー・ゴー・ラッキーのmumbleboyのレビュー・感想・評価

ハッピー・ゴー・ラッキー(2007年製作の映画)
3.9
サリー・ホーキンス ファンは必見!

昔、初めてのデートでマイク・リー監督の「ネイキッド」を観に行ったことがあります。かなりの壮絶な映画でとてもデートに適した作品ではありませんでしたが、ラッキーなことに相手もこの映画の価値を理解してたのでこれが原因で関係が壊れるということにはなりませんでした。ただ「ネイキッド」を観た最初の感情としては「これが自分の世界じゃなくて良かった〜!」でした。

今作は「ネイキッド」を180度転換した作品とも言っていいかも知れません。「ネイキッド」が究極にネガティブな人物の作品だとしたら今作は究極に明るくて楽天的な、英語で「ハッピー・ゴー・ラッキー」という表現がぴったりの主人公のストーリーでした。今まで見てきたサリー・ホーキンスはどちらかというと内気で控えめな役が多かったですが、今作は今まで見たことない底ぬけに明るい、なんだったらウザいレベルにポジティブな主人公を演じてました。別に彼女の人生がハッピーなことの連続ではないのですが彼女自身が何にも動じないですべてを良い風に受け止める、というかまずはじめに街中をいかにも楽しげに自転車に乗っていて途中で本屋に行った後、その自転車が無くなっていてもまるで動じず、さようなら自転車、私は歩いて帰るわ、という感じでした。そんな彼女ポピーが彼女とは正反対の超ド級ネガティブな人物スコットに出会い、スコットはポピーにイラつきながらも次第に彼女に執着していき、さてどうなる、、、みたいな。

昔なぜそもそもデートに「ネイキッド」を観に行こうと思ったかというとその前にマイク・リー監督の「ライフ・イズ・スイート」という映画を観ていてすごく良かったからだと思います。マイク・リー監督作品の何がいいかと言うとまるでお洒落じゃないところでしょうか。何というか出てくる人もセレブとかじゃない普通の庶民でそういう人たちの日常を覗き見しているというかイギリスに観光で行っても絶対見れない人々のプライベートな生活を見ている感じがそれまであまり見たことがなかった気がします。今作もポピーというかなりエキセントリックな普通な人をずーっと追ってみたら何だかすごいものが撮れちゃいました、みたいな作品でした。久しぶりのマイク・リー監督作品でしたがやっぱりいいなあと再認識しました。
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