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フェイス/オフのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

フェイス/オフ(1997年製作の映画)
5.0
FBI捜査官ショーン・アーチャー(ジョン・トラヴォルタ)は、凶悪なテロリスト、キャスター・トロイ(ニコラス・ケイジ)に、6年前、幼い息子マイケルを殺された。
幾多の犠牲を払い、空港での大捕物の末、キャスターを逮捕したアーチャー。だが、キャスターは逮捕直前に、ロサンゼルスを壊滅させるほどの威力を持つ時限式細菌兵器爆弾を仕掛けていた。
植物人間になったキャスターはもとより、彼の弟のポラックス(アレッサンドロ・ニボーロ)も兄以外の人間は信用せず、爆弾のありかを聞き出すことは出来ない。
焦るショーンに、極秘指令が下る。キャスターの顔の皮膚を移植して、彼に成りすましポラックスに接近せよというのだ。
ショーンは悩んだ末、家族にも明かすことのできないこの任務につくことを決意した。
ウォルシュ博士(コーム・フィオレ)による手術を受け、刑務所に送り込まれたショーンは、何とかポラックスから爆弾の設置場所を聞き出すことに成功。
ところが、キャスターが奇跡的に意識を回復。彼は手下を使ってウォルシュに残っていたショーンの顔を自分に移植させ、ウォルシュやショーンの上司のティト(ロバート・ウィズダム)はじめ、秘密を知る者を皆殺しにしてショーンに成りすました。
彼はポラックスを釈放して自ら爆弾を解除、一躍ヒーローに。
そんな夫の変化にとまどいながらもショーンの妻・イヴ(ジョアン・アレン)は、彼を受け入れる。
父親の豹変ぶりに反抗期の娘ジェイミー(ドミニク・スウェイン)は、目を丸くした。
一方事態を知り、哀しみと怒りで気も狂わんばかりのショーンは刑務所を脱獄、キャスターの恋人サシャ(ジーナ・ガーション)に接近。キャスターの姿のショーンに、幼い息子アダムを「あなたの子よ」と会わせるサシャ。
そこを、キャスター率いるかつての部下たちが急襲。激しい銃撃戦。サシャの兄ディートリヒ(ニック・カサヴェテス)は、キャスターの銃弾に倒れ、ショーンは、サシャとアダムを逃がす。
お互いの顔をまとったふたりは、鏡をはさんでついに対面。銃を構えて対峙するふたり。
ショーンは、キャスターの愛する弟ポラックスを殺した。キャスターは、ショーンを完全に抹殺することを決意。
ショーンは、かつてのわが家へ逃げ込んだ。
怯えるイヴに、ふたりだけが知る想い出を語り、女医である彼女に血液型を鑑定させて自分こそが本物の夫なのだと納得させた。
海辺の教会。ふたりの最後の戦いが始まった。戦いの中、サシャはアダムをショーンに託して死ぬ。
モーターボートの大追跡に続く肉弾戦。死闘の末、ショーンはキャスターを倒した。かくして手術を受けて自分の顔を取り戻したショーンは、キャスターの遺児アダムを連れて、愛する妻子の待つわが家へと帰った。
 ジョン・ウー、ハリウッド進出第3作。
息子マイケルを殺した憎むべきテロリスト・トロイに化け悪党になりきる中で、苦悩し己を見失いそうになりながら妻への愛と息子への愛のために一線を踏み留まり自分の人生を自分を取り戻すために闘う主人公ショーンの苦悩や葛藤が、初めてトロイの顔になったショーンがトロイの顔が写った鏡を叩き壊しながら泣くシーンや自分を見失いそうになったショーンがトロイの息子アダムに自分の息子マイケルを重ねて抱きしめるシーンやトロイの顔になったショーンが自分の妻イヴに自分がショーンであることを信じてもらうために初デートの思い出話をするシーンなどを通して丁寧に描かれているので泣けます。
二丁拳銃乱射、スライディングしたり回転しながらの乱射、空港や刑務所での爆発、砂浜での一対一の格闘、ボートチェイスと壮絶で迫力満点のアクションの満干全席です。
中でも「オーバーザレインボー」が流れる中でショーン率いるSWATチームとトロイたちが戦うアクションシーンはアクション映画史に残る詩的なアクションシーンとして名高いし、複雑な因縁を抱えたショーンとトロイがお互いに憎む相手が写った合わせ鏡を挟んで対峙し撃ち合うシーンは、ジョン・ウー映画のテーマである「善と悪は紙一重で合わせ鏡のようなもの」というメッセージを完璧にビジュアルに写した名シーンです。
ショーンとトロイが入れ替わることによって起こる変化やトロイの妻サシャの兄貴や息子に対しての献身や冷酷非情なトロイの弟ポラックに対しての過保護なほどの愛が描かれているのも、ジョン・トラボルタとニコラス・ケイジの善悪を巧みに演じた演技も効果的で、「人間は善と悪両面を持っているもの」というジョン・ウーのメッセージが織り込まれていて、ジョン・ウーの集大成と言える一大傑作アクション映画です。
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