七沖

フェイス/オフの七沖のレビュー・感想・評価

フェイス/オフ(1997年製作の映画)
4.3
〝全世界が鼓動を止めた2つの顔のドラマ〟というキャッチコピー通り、顔の入れ替えによる立場の逆転が作品のテーマになっている。アクションだけではなく、主演2人の演技に引き込まれる作品だった。

刑事のアーチャーは、かつて息子を殺した凶悪犯トロイを死闘の末に逮捕する。だが、昏睡状態のトロイが街の何処かに爆弾を仕掛けていたことが判明する。爆弾の所在を把握しているのは、投獄されたトロイの弟のみ。アーチャーはトロイの顔面を手術で自分に移植し、トロイになりすまして弟から爆弾のありかを聞き出す作戦に身を投じる。一方のトロイは顔面を剥がされたことをきっかけに昏睡から覚醒し…というストーリー。

顔を交換(フェイスオフ)する前と後の、ジョン・トラボルタとニコラス・ケイジの善玉・悪玉の演じ分けが見どころ。CGに頼らない火薬と破壊だらけの豪快なアクションシーンも見応えがあるが、ドラマ部分もしっかりしている。相手の立場に立ってみて初めて見えてくる人間関係が丁寧に描かれていた。「虹の彼方に」をBGMにしたアジト銃撃戦は、悪役側への感情移入度がグッと高まる名シーンだ。
鏡を挟んで向かい合い、殺したいほど憎い相手の顔=自分の顔に銃を向けるシーンは外連味たっぷりの演出で鳥肌が立つほど格好良かった。
「マンハント」を観る前に今までのおさらいのつもりで久々に観たが、今観ても色褪せないジョン・ウーの代表作だと思う。

余談だが、ジョン・ウー作品に白いハトが出るという印象は、この映画で定着した感がある。
七沖

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