すずき

ロボコップ2のすずきのレビュー・感想・評価

ロボコップ2(1990年製作の映画)
4.1
今度のロボコップことマーフォー巡査の相手は、麻薬組織でカルト集団のカリスマリーダー、ケイン。
彼らのアジトへ向かったマーフィーだったが、逆に彼らに捕えられ、バラバラにされてしまい、意識不明の重体で警察署に届けられる。
一方その頃、オムニ社では新型ロボコップの開発計画が進行中だったが、(やはり)暴走・失敗続き。
そこで心理学者のファックス博士は、警官の脳ではなく、生存本能の強い犯罪者の脳をベースにする事を提案する…。

監督が交代した続編。
ヴァーホーヴェン監督の前作と比べて、ブラックコメディとバイオレンス・グロ描写とロボットバトルの迫力はパワーアップ!
しかしシリアスで意外にハードなSF設定とを、絶妙にミックスした前作のバランス感は失われたかも。
特に人間だった頃の奥さんとの伏線は投げっぱなしだ。でも自分は本作も好き。
あとテーマ曲も前作の方が評価高かったりだけど、やはり自分はこっちも好きなのだ。
どうでもいいけど、マーフィーの「ロボット感」がなんか増してね?前作からこんなにカクカクした動きでカタコトだっけ。

無敵のメタルヒーロー、ロボコップが悪人たちにバラバラにされる所は本作屈指のトラウマシーン。
何が嫌かって、自身が解体される様をロボコップ目線でいちいち見せてくる所。
パーツから吹き出すオイルをぶっかけて「これがお前の血だぞ」とか、悪趣味すぎる!
解体されたあとは警察署前に放置、しかしなかなか死なない機械の身体の為、白目を剥きながらも蠢くロボコップ(の上半身一部)。怖すぎる!

クライマックスではロボコップvsロボコップmark2のロボットバトル!
前作ではロボット同士の戦いの少なさに不満があったが、本作は大増量。
トドメ級の攻撃を2~3回受けても流石はオムニ社、簡単にはブッ壊れずバトルは続く。ちょっとしつこいぐらいだ。

しかしこの作品、出てくるキャラ8~9割は悪人だな!
麻薬組織のボスのカルト教祖に始まり、教祖に心酔するヤク中女、汚職警官、マッドサイエンティスト、強盗を働く少年野球チーム、麻薬組織と取引する市長…
前作でギリギリ善人側だったオムニ社会長も本作では非道だ!つーか諸悪の根源だ!

そんな多種多様な悪人揃いのなかでも異彩を放つのは、麻薬組織の(多分)No.2で、眉目秀麗な少年ホブ君12歳だ。
ロボコップの弱点が「子供は撃てない」と看破し、頭も切れるが、戦闘要員としても優秀。
ロボコップのカメラに不調を来たす一撃や、銃を構えた右腕をピンポイントに射撃、とかなりのエイム。
後半ではケイン不在の組織のトップへとのし上がる。
いったいどんな人生を歩んできたらこうなるのだろうか、不明すぎて怖い。
これは私の勝手な意見だけど、本作はこのホブ君をもう一人の主人公、アンチヒーローとして扱い、彼の生い立ちからバックグラウンドストーリーを入念に描写するべきだったのではないか。
きっと悲惨な境遇で、早くに両親が死に、それでもスラムで貧しく生き延び、これが修羅道だとしてもワイはビッグになったる!と麻薬販売に手を染め…と絶対面白いと思うんだけどどうか。