上海十月

笛吹川の上海十月のレビュー・感想・評価

笛吹川(1960年製作の映画)
4.8
2013年の感想。今年は、木下恵介生誕100周年で「はじまりの道」が公開。その時にスクリーンで観た「笛吹川」パノラミックな合戦シーンを観て、再見しなければと思ったのでした。上海時代にテレビで観た時は、???と言う作品。着色の仕方も意味あるのかという感じであったが、70インチのプロジェクターで観ると絵巻物の雲の役割で、そして木下監督の信条が表わされている。2時間の間に武田一族の滅亡と貧農一族の全滅を重ね合わせる戦国超大作なのだが、庶民の目から描かれるので勇ましくもなんとない、観ている内にこれは、太平洋戦争のアイロニーでありブラックユーモアなのだと気づく。しかし、合戦シーンや行列のシーンのパノラミックな映像は、特筆できる。黒澤とは違った洗練された合戦シーンだ。しかし、ほんの少ししか流さない。真に実験的な作品であり、娯楽性を何とか共存できないかとした作品。高峰秀子もこれがNo.1だという。情緒を廃して冷静に戦争を批判した映画で木下恵介の筋金入りの反戦精神に脱帽する。
上海十月

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