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クロノスのHKのレビュー・感想・評価

クロノス(1992年製作の映画)
3.7
『パンズラビリンス』『パシフィックリム』などのギレルモ・デル・トロ監督の長編デビュー作。キャストはフェデリコ・ルッピ、ロン・パールマン、タマラ・サナスなどなど

1536年、とある錬金術師が宗教裁判所から逃げるためにメキシコに渡り、そこで時計師となった。永遠の命を与える鍵を創り上げ、それをクロノスと称したのだった。その後、このクロノスはとある古物商の男の手元に渡ることになるのだが…

『ヘルボーイ』などのギレルモ・デル・トロ監督による初期監督作品の一つ。吸血鬼ものである。後年の彼の作品である『パンズラビリンス』などからも分かる通り、グロテスク、ゲテモノ趣味というのがよく出ている。

この監督さんは、舞台となる世界観からして一貫してファンタジー要素的な物を取り入れているために、そこまで現実世界との乖離や違和感というものを映画内で感じることがない。寧ろ、独自の世界観でアニメ的な絵的空間を現実世界に切り抜いたような様相を感じることが出来る。

特にこの作品ではロン・パールマンの演技などから特に顕著なのだが、やはりギレルモ・デル・トロさんはアニメからインスピレーションを多分に受けてるために、演出や演技プランも大体はアニメ的な物が多かった。

ロン・パールマンさんの演技が個人的にこの映画に一種の華を付け加えているように思える。どこかコミカルな所を示しているのが良いですね。字幕でも何故か「おじき」とか言っているのが良い。

一番好きなのはフェデリコ・ルッピの死体を解剖する際の、納棺師の男とのやり取りとかが良かったような気がしますね。あそこの納棺師のキャラクターもバナナ食べながらすごい不謹慎なことやるのが良かったと思いますよ。

アクション的な要素とかはあまり少ないんですけど、全体的な雰囲気がアニメチックなのがこの映画の一番の良い所かもしれませんよ。それでいて違和感もそこまで感じないのも。

また、クロノスのデザインに関しては、ジョジョの奇妙な冒険の鉄仮面のようにも感じられる。監督ジョジョも好きで見ていたことがあるんですかね。

特殊メイクやゲテモノ投入のやり方も後年のデル・トロ作品に一貫した甘美さも感じられて良かったような気がしますよ。やっぱりあのゴワゴワとした表皮から若干下で見られる美しい肌というのが溜まらんのですね。

そして、ゴキブリも出てきますよ。気持ち悪いのであまりそういうのに慣れない人は視聴注意かもしれませんが個人的にはそこまで感じませんでした。

後はトイレでのフェデリコルッピの血を飲むのか飲まないのか演技がとても良かった。あそこでの鼻血とかあまりにも過剰なんじゃないのかと言われればそこまでかもしれないけど、あそこでの見つかるか見つからないかのやり取りもいい。

デル・トロ監督の初々しいゴシックホラー映画としてお勧め。見れて良かったと思います。
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