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黄色い星の子供たちのバナバナのレビュー・感想・評価

黄色い星の子供たち(2010年製作の映画)
4.0
1995年にフランスのシラク政権が、1942年に行われた“ヴェル・ディヴ事件”(冬季自転車競技場に約1万3000人のユダヤ人を強制収容に送り込むために一時収容した事件)を起こした当時のヴィシー政権の関与を認めて謝罪したそうですが、
奇しくも2010年の同じ年に、この“ヴェル・ディヴ事件”をテーマにした『サラの鍵』と『黄色い星の子供たち』という二作品が公開されたんですね。

『サラの鍵』では、少女はどうなったのかというサスペンス的な展開だったので、まあ商業的な感じもしたのですが、
こちらの『黄色い星の子供たち』は、生き残った人の証言を元にした映画なので、ジョー少年や、看護師のアネットさん達や多くの登場人物は実在するそうです。
そして“ヴェル・ディヴ事件”を引き起こしたヴィシー政権のペタン元帥とラヴァル首相も、頻度高く登場してきます。

本作では、生き残った人のそれぞれの証言を基に、当時の出来事を同時進行で見せているので、特に誰か一人に感情移入しやすい作りではありません。
しかし“ヴェル・ディヴ事件”は実在の事件であり、誰がこんな事を命令したんだという問いに「こいつらか!」と、ハッキリ示しているところは小気味よかったと思いました。
正直、個人主義がハッキリしているフランスで、この様な強制収容が行われ、
逆にファシズムで有名なフランシスコ・フランコが、ユダヤ人の強制収容に賛同しなかったのは意外でした。

あの人は「親と子を離すなんてかわいそう」と大反対してたけれど、その後の事実を知ってしまうと、他に何か出来なかったのかと別の後悔も起きたでしょうね。
現代の日本でも、国をあげての不正義に「それは正しくない!」と、
声を上げて反対できる人がどれ位居るだろうか。
声高に上げるのは、芸能人の不倫くらいか…。
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