たにたに

底抜けもててもててのたにたにのレビュー・感想・評価

底抜けもててもてて(1961年製作の映画)
3.6
【女性恐怖症】2023年32本目

パラマウントスタジオ内にそびえ立つ4階建のセットは見もの。まるでシルバニアファミリーを人間サイズに仕立てた見事な建築物である。

女の子に振られた主人公が、女性恐怖症になり、職に就いて気を紛らわせようとしてたら、その職場が女性しかいなくてパニックになる話。

オーバーなリアクションや顔芸を繰り広げるどちらかというと苦手なタイプの作品ではあるものの、加藤茶や志村けんに影響を与えただけはある、俊敏な動きとストーリーも最早ない自由さに圧巻され、コメディ俳優ジェリー・ルイスの巧みなアイディアがこの壮大なセットの中で豪快に繰り広げられることに徐々に興味が湧いてくるのだ。

ミュージカル要素も豊富だ。
序盤、作中に流れるBGMと共に、そこに住む女性たちがリズムを刻んでいる様子をワンカットで見せて、建物と登場人物の紹介をする。
女の子を迎えにきたおじ様と、社交ダンスを繰り広げる。
真っ白な部屋に住む真っ黒の女とは、突如壁が吊り上がってバンドが登場し、様々なステップを踏んで楽しんでいる。


個人的なツボは、ハットをおじ様に被せてあげるシーンなのです。"違う、そうじゃない、裏地が取れちゃった、左目が見えない、ツバをあげてくれ"などと、ジワジワと押し寄せるくだらなさがたまらなかった。よくも笑わず演じてられるなぁ。

ジェリールイスが余りにあたふたして、4人ぐらいに分身する当たりも良いですねぇ。トムジェリの世界ですね。

女性不信設定はいつの間にか消え去ってました。
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