あらた

イエスマン “YES”は人生のパスワードのあらたのレビュー・感想・評価

3.5
嫌う人の少ない、そつのない作品。よくまとまっていて完成度も高い。
イエスと受け入れるだけでなく、思考停止することにも疑いの目を投げかけているので、物語の着地点に納得しやすい。
主人公カールのように消極的・否定的な態度で世界に対してしまう癖は自分にもあるので、身につまされる。

でも、私はこの映画に抵抗感を覚える。
それはこの作品の基本的価値観がアメリカのプラグマティズムをそのまま反映しているからだ。
プラグマティズムはたしかに力のある思想で、事実アメリカはこれを国家的思想とすることで長年世界一の大国であり続けたのだろう。でも、私にはそれはあまりに実用性重視、行動重視、結果重視過ぎて、ひどく冷たい、自己中心的なものに感じられるし、実際この作品で正しいとされる価値観にもその冷たさを感じ取る。

うまく説明できないが、表面の見やすさに騙されてうかつにこの作品に影響されてしまうのは、もっと大きな視点で捉えると危険なのではなかろうか。
あらた

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