Longsleeper

セントラル・ステーションのLongsleeperのレビュー・感想・評価

セントラル・ステーション(1998年製作の映画)
4.2
終始わざとらしさのない演出で、笑いも涙も露骨に誘う場面はない。
だけど、その分ラストシーンでドーラと一緒に泣いてしまう。
自分を励ますように笑っている顔が切ない。
口紅とワンピースも、自分を鼓舞するためのおしゃれだったんだろうと思う。
特別な装いをするからには、恥ずかしい出発は許されないんだっていう。
大人と子どものロードムービーは『ペーパームーン』『都会のアリス』『パリ、テキサス』など色々あるけど、これが一番大人側の成長と変化を感じる。
極悪でもないが善良でもないドーラが、都会の淀みに埋没しながらうだつの上がらない暮らしをしていたのに、望んでもいない人助けをきっかけに変わっていく。
旅は道連れのなし崩しであっても、最後に寄り添う相手がいるのはいいなと思う。
本当にやばい時に救いに出会えると、自分も何かを返したいと思えるようになる。
そういう、たくさんの人が大人になる途中で少し経験した感情を掘り起こしてくれる感じ。
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